ダラス警官銃撃、射殺された実行犯の身元特定 単独で銃撃

テキサス州ダラスで抗議デモ中に銃撃があり、警官5人が死亡=KDAF

2016.07.09 Sat posted at 10:13 JST

(CNN) 米テキサス州ダラスで起きた警官銃撃事件で、捜査当局は8日、市中心部のガレージに立てこもり警察との交渉が不調に終わった末に殺害された容疑者の男の身元を特定した。同市のマイク・ローリングス市長によれば、捜査員らはこの男が単独で銃撃を実行したと断定している。

身元を特定されたのはマイカ・エグザビア・ジョンソン容疑者(25)。退役軍人で、アフガニスタンで約7カ月従軍した後、名誉除隊になっていた。

警察が8日午後に同容疑者の自宅を家宅捜索したところ、爆発物を作る材料や防弾チョッキ、ライフル銃、弾薬のほか、戦闘時の戦術を記した個人的な日記も見つかった。捜査員らが現在、この日記に記された情報の分析を進めているという。

ローリングス市長が8日午後に明らかにしたところによると、捜査員らは、今回の事件で銃撃に及んだのはジョンソン容疑者ひとりだったと断定した。同容疑者は移動しながら銃撃を繰り返す方法について記した犯行宣言を書いており、これに従って銃撃を実行した形だという。同一の建物の複数の階から銃撃を行っていたとも明かした。

ローリングス市長はまた、他の人物が犯行計画の策定に関与していた可能性もあると強調。ダラス市警トップのデビッド・ブラウン氏は8日に行われた追悼集会で、容疑者の一部を取り調べた結果、複数の容疑者による計画的な犯行であることが判明したと述べた。当局は先に、容疑者3人を拘束したと発表していた。

ブラウン氏によると、ジョンソン容疑者はガレージに立てこもって警察とにらみ合いを続けていた際、交渉役の警官に対し、最近の警察による黒人射殺事件に衝撃を受けており、警官をはじめとする白人を殺害したかったと述べた。1人でやったとも主張していたという。

5人の警官が死亡したほか7人が負傷=DART/CNN

ジョンソン容疑者は長時間にわたる立てこもりの末、警察が起爆した爆破装置によって殺害された。捜査当局者によれば、犯罪歴はなく、テロリストとの関係も知られていない。隣人によると、母親と暮らしており、他人との交流は少なかったという。

米国では、ルイジアナ州とミネソタ州でアフリカ系米国人の男性が警官に射殺される事件が続発。いずれの件でも銃撃の様子をとらえた動画が浮上したことを受け、警察による力の行使をめぐる抗議や議論が各地で起きた。ダラスでも銃撃が始まるまでは、市中心部で平和的なデモが行われていた。

一連の銃撃では警官5人が死亡、7人が負傷した。警官が犠牲になった単一の事件としては2001年9月11日の同時多発テロ以来、最悪の規模となった。ダラス市当局によると、民間人2人も銃撃で負傷したという。

オバマ米大統領は訪問先のポーランド・ワルシャワで、今回の銃撃について「捜査機関に対する、悪意に満ちた計画的で卑劣な攻撃だ」だと指摘。「警官に対するこの種の攻撃やいかなる暴力も正当化できない」として、犯行に関与した者には法の裁きが下るだろうと述べた。

ホワイトハウスは8日、声明を出し、オバマ大統領は欧州歴訪を1日短縮し10日に帰国、来週に初めにはダラスを訪れる意向だと明らかにした。ローリングス市長の招きに応じた形だという。

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