アフリカ連合、共通パスポート構想 全54カ国をビザ無しで

2016.07.06 Wed posted at 15:52 JST

(CNN) アフリカ連合(AU)は6日までに、ルワンダの首都キガリで今月開かれるAU首脳会議で、加盟全54カ国間をビザなしで往来できる共通電子パスポートの構想を打ち出すと発表した。

共通パスポートは首脳会議の場で披露され、同会議に出席する首脳や高官に発行される。2018年までにアフリカの全市民に普及させることを目指す。

AUはこの構想について、「大陸全土で人や商品やサービスの自由な移動を促し、アフリカ内貿易の促進や統合および社会経済の発展を目指す」と説明している。

共通パスポートは、加盟国の統合推進に重点を置くAUの行動計画の柱となる。自由な移動は加盟国間の優先課題として1991年のアブジャ条約などにも盛り込まれ、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)などの加盟国では既に共通パスポートが採用されている。

現時点で全アフリカ諸国の国民に対してビザなし渡航を認めているアフリカの国は13カ国のみ。多くは渡航に厳しい規制をかけている。

ルワンダの衣服などを売る店舗。ビザの廃止がルワンダの観光収入の増加につながっているという

アフリカ開発銀行はこのほどまとめた報告書で、入国規制を緩和すれば経済成長が促されると指摘し、ビザを廃止して観光収入を伸ばしたルワンダの事例を紹介した。

AU政治局長のカベレ・マトロサ氏は、「若者は命の危険を冒してサハラ砂漠を横断したり、船で欧州へ渡航したりしている。アフリカで機会が開ければ、そうしたリスクを軽減できる」と指摘する。

同氏は欧州の事例についても研究し、AU加盟国が統合を推進しても、難民問題や主権喪失の懸念にそれほど脅かされる事態にはならないと判断したという。

ただし、2018年までに全市民に共通パスポートを普及させるという目標は野心的だと指摘、全市民をカバーできるのはそれより数年先になるとの見通しを示した。

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