英EU離脱派リーダー、欧州議会で放言 対立浮き彫りに

英国のEU離脱をめぐり、離脱推進派と欧州議会議員とが舌戦を繰り広げた

2016.06.29 Wed posted at 13:32 JST

ロンドン(CNN) 欧州議会は28日、英国の欧州連合(EU)離脱をめぐってブリュッセルで緊急会議を開いた。離脱派を率いた英国独立党(UKIP)のファラージ党首が議員らを侮辱してブーイングを受けるなど、英国とEU側との対立が浮き彫りになった。

欧州議会の議員でもあるファラージ党首は、同日の会議で「面白い話ではないか。私が17年前にここへ来て英国の離脱運動を指揮したいと話した時は全員に笑われた。ところが今、皆さんは笑っていない」「皆さんの中で、これまでまともな仕事に就いたり商売をしたり、雇用を生み出したりした経験のある人はいないに等しいだろう」などと発言。その後、CNNとのインタビューでは「軽い冗談だった」と述べ、「かれらも私を嫌っている。お互いさまだ」と言い放った。

ファラージ氏は議員らに「大人らしく合理的に関税撤廃の契約を結ぼう。そうすれば英国は皆さんと貿易をし、協力するし、皆さんの世界一の親友になる」と呼び掛けた。さらに「EUから抜ける国は英国が最後ではない」と警告した。

一方、欧州人民党の党首を務めるドイツ選出のウェーバー議員は、ファラージ氏をはじめとする英国の離脱派は国民投票で自国民をだましたと非難。「最大のうそつきはUKIPの中にいる」と述べて大きな喝采を浴びた。ウェーバー氏はさらにファラージ氏に対し、「もしあなたに一片の良識があるのなら、英国の人々に謝るべきだ。恥を知れ」と詰め寄った。

またユンケル欧州委員長は演説の中で、ファラージ氏に「あなたは離脱をめざして戦い、英国民が投票で離脱を支持した。なぜあなたはここにいるのだ」と問い掛けた。

英国独立党(UKIP)党首としてEU離脱派を主導するファラージ氏(右)

この日は、残留を主張してきたキャメロン英首相も離脱問題でブリュッセルに出向いた。

離脱の手続きは、英政府がEU基本条約(リスボン条約)第50条を発動した時点で始まることになっている。キャメロン首相は、まず事前交渉でEUとの今後の関係を探ったうえで正式な手続きに入りたいとの意向だが、EU側は事前交渉に応じない立場を示し、対立が深まっている。

ドイツのメルケル首相は「良いところ取り」の離脱は認めないと述べ、「この家族から抜けたいというのなら、義務を全て放棄して特権だけを握り続けることはできない」と指摘した。

イタリアのレンツィ首相もCNNの番組で、英国はEU内の移動の自由を拒否して単一市場にとどまることはできないとして、「共同体の良いところだけ取り、悪いところを捨てて所属するのは不可能だ」と強調した。

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