ニューヨーク(CNNMoney) 米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は27日、英国が先週実施した国民投票で欧州連合(EU)離脱の結果が出たことを受け、英国債の格付けを最上位の「AAA」から2段階下の「AA」に引き下げた。
S&Pは、英国がEUから離脱することで政策の予測可能性や安定性、有効性が低下し、外国からの投資も阻害されると警告。主要産業の金融部門を筆頭に、英経済が悪化する恐れがあるとの見方を示した。
また今後、通貨ポンドが主要準備通貨としての地位を失ったり、英財政の悪化や予想を上回る景気停滞が起きたりした場合、EU残留派の多いスコットランドで独立の是非を問う住民投票が再度実施された場合は、さらに格下げする可能性もあると指摘。見通しを「ネガティブ」(弱含み)に据え置いた。
S&Pは2011年、米国債の格付けを最上位から「AA+」に引き下げ、全世界の経済に大きな影響を及ぼしたことが知られている。
欧州系格付け大手のフィッチ・レーティングスも27日、英国債の格付けを上から2番目の「AA+」から「AA」に1段階引き下げた。
英国ではポンドや株価が急落するなか、キャメロン首相らが離脱による経済崩壊への懸念を打ち消し、市場や通貨への信頼を回復しようと努めている。
キャメロン氏は議会で「英国が世界で最も強固な先進経済大国のひとつであることに変わりはない」と述べ、「英国には今後予測される課題に対応できる態勢が整っている。中央銀行が実施したストレステスト(健全性審査)で、英銀には今以上に厳しいシナリオにも耐え得る能力があることが立証されている」と強調した。
これに先立ちオズボーン財務相も「英経済には強固な基礎と高い競争力があり、我々はビジネスを続ける構えだということを、大小の企業に伝えたい」と述べた。