英国のEU離脱、交渉開始時期めぐり首脳間に意見の隔たり

英国のEUからの離脱交渉について、早くも不透明感が漂っている=CNNMoney/Shutterstock

2016.06.28 Tue posted at 11:56 JST

ロンドン(CNN) 英国が国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を選択したことを受け、離脱への準備をどう進めるかが注目されている。キャメロン英首相とEU首脳らとの間では、まず離脱交渉をいつ開始するかをめぐって意見が食い違っている。

EU残留を主張していたキャメロン首相は離脱派の勝利を受け、10月に辞任すると表明している。

EU加盟国の離脱手続きを定めたリスボン条約によると、離脱する国はその意思をEUに正式に通知した後、2年間の交渉期間に入ることになる。

キャメロン氏は27日の議会で、通知の時期について「その前に我々が望むEUとの関係を決める必要がある」「離脱へ向けた交渉は次期首相の下で開始される」と明言。離脱手続きを扱うため、まず内閣府や外務省、財務省当局者らを集めた準備委員会を設置すると発表した。

これに対してドイツのメルケル首相は27日、EU首脳会議のためブリュッセルを訪れる前の会見で「英国から通知を受ける前に非公式の話し合いを始めることはできない」と述べ、事前交渉の可能性を否定した。メルケル氏は、EUとして「膠着(こうちゃく)状態を望んではいない」としたうえで、「最初の一歩は英国が踏み出す必要がある」と強調した。

フランスのオランド大統領、イタリアのレンツィ首相もメルケル氏に同意し、英国はただちに手続きを開始するべきだとの見方を示した。

国民投票の僅差での決着が、英国世論に混乱をもたらしている

EUへの通知時期をめぐっては、残留を支持していた英最大野党・労働党のコービン党首も「先送りにすれば英国がまひ状態に陥り、交渉が遅れるばかりだ」と述べて、迅速な行動を主張した。

ただ、コービン氏はすでに党内部のまひ状態に直面している。労働党では同氏の残留へ向けた運動が不十分だったとして不信任を表明する声が相次ぎ、「影の閣僚」を務める議員19人が辞任した。

英国の政治的混乱が深まるなか、首相の後任選びは難航が予想される。国内では離脱派指導者らに対する失望も広まっている。

離脱派は国民投票前のスローガンで、英国がEUに支払っている1週当たり3億5000万ポンド(約480億円)の拠出金を、国民医療サービス(NHS)の財源にすると主張していた。しかし投票後、その実現は保証できないと認めている。

次期首相の有力候補とされる離脱派のリーダー、ボリス・ジョンソン前ロンドン市長は26日、英紙サンデー・テレグラフに寄稿した国民投票後初の論評で、英国が「欧州の一部」であることに変わりはないと強調。「小差で過半数を獲得した側として、残留派の不安をぬぐうために全力を尽くさなければならない」「失望感や喪失感を覚え、混乱している国民がいることは明らかだ。手を差し伸べて和解し、橋を架ける必要がある」との姿勢を示した。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。