地球にいながら「別世界」を堪能 世界の観光地9選

シャマレル(モーリシャス)

2016.07.03 Sun posted at 18:06 JST

(CNN) 米航空宇宙局(NASA)の推計によると、太陽に似た恒星を周回する地球サイズの惑星の数は銀河系だけで10億に上る。

ロシア人実業家ユーリ・ミルナー氏は、iPhoneほどの大きさの人工衛星を開発し、その衛星群を地球から最も近い恒星系ケンタウルス座アルファ星(アルファ・ケンタウリ)に送り込む計画を発表した。しかし、そのような計画が実現するのは早くても今から数十年後だ。

一方、科学者らは地球上のさまざまな場所で、月や火星探査などのミッションで使用する新技術のテストを行っている。そして、それらの場所はその気になれば誰でも訪れることのできる場所だ。

そこで今回は、地球上で宇宙科学の研究・調査が行われている場所や、「別世界はきっとこんな感じだろう」と思わせる見事な地形や景観を有する場所を紹介する。

シャマレル(モーリシャス)

モーリシャスといえば白い砂浜で有名だが、島の南西部の隅に隠れるようにして七色のしま模様の小さな砂丘がある。

この砂丘の砂は、今も科学的に謎のままだ。

火山岩が長い時間をかけて細かく砕け散り、他の物質と結合することにより赤、茶、バイオレット、緑、青、紫、黄の7色の砂になった。

不思議なことに、この砂丘は熱帯性の激しい雨が降っても崩れる様子はなく、また砂が混ざり合っても必ず元の7色のしま模様に戻るという。

ヘル(グランドケイマン)

ヘル(グランドケイマン)

グランドケイマンには、ゴツゴツした黒い岩で覆われたフットボール場の半分ほどの広さの場所がある。この場所は、そのあまりに不吉な雰囲気から「ヘル(地獄)」と呼ばれている。

この黒い岩はとても生物が生息しているようには見えないが、実はこの岩は藻の一種と石灰岩の珍しい相互作用によって形成された。これは岩に生えた藻が石灰岩をレースのように覆う現象で、「フィトカルスト」と呼ばれる。この現象はカリブ海の他の場所でも見られるが、最も絵になるのはヘルの景色だ。

アタカマ砂漠(チリ)

年間降雨量がわずか15ミリという地球上で最も乾燥した場所の1つであるアタカマ砂漠は、昔の溶岩流や塩湖、岩だらけの山々など、まるで月面のような景観だ。

しかし、2015年10月のようにまとまった雨が降ると、地中に埋まっていた休眠状態の種が一気に芽を出し、ピンクや紫、オレンジ、黄など、色とりどりの花のじゅうたんが砂漠を覆う。その色鮮やかな光景は、普段の月面のような不毛な光景とは違った意味で別世界に見える。

2005年にNASAはこの砂漠で、火星に送った探査機と同様の探査機を使って、新たな微生物の生息環境を発見した。

カナイマ国立公園(ベネズエラ)

カナイマ国立公園(ベネズエラ)

この国立公園には多くのテーブルマウンテンが連なる。この山々は、地元で「神々の家」を意味する「テプイ」と呼ばれている。

山の近くに住む人々は何世紀もの間、山々に住んでいると考えられていた神々や奇妙な生物を恐れ、頂上まで登ろうとしなかった。

実際、山の頂上には変わった生物が生息している。その最たる例が巨大な食虫植物や珍しいランなど、外界から疎外され基本的に進化から忘れ去られた植物だ。

また世界最大の落差を誇るエンジェルフォールは、ピクサーの長編アニメ映画「カールじいさんの空飛ぶ家」に登場するパラダイスフォールのモデルになった。

ナミブ砂漠(ナミビア)

ナミブ砂漠は、ナミビア大西洋側に位置する巨大な砂漠で、景観が火星に酷似していることから、NASAは砂漠の研究のために科学者を現地に派遣している。

2010年には研究者らが、文字通り岩の下で生息する微生物を求めてこの砂漠を訪れた。

ハイポリスと呼ばれる特殊なクオーツ(石英)は、霧の湿気を保持することにより半透明になり、一定の光を通せるようになる。科学者は、こうした有機体が火星のような過酷な場所にいる生命体の手掛かりになると考えている。

またナミブ砂漠を散策すると、果てしなく続く赤やオレンジの砂の風景の中を干上がった川床が走り、まるで火星を冒険しているような気分になる。

ピンクレイク(セネガル)

ピンクレイク(セネガル)

セネガルのピンク色の湖、レトバ湖は大西洋から砂丘を隔てた場所に位置するが、この湖の水は大西洋の海水よりも多くの塩分を含み、さらに死海よりも塩分が濃いという。

この塩分濃度の高い湖が、セネガルの熱帯性気候の中で微細藻類の生息地となり、この藻類が湖をまるでイチゴジュースのようなピンク色に染めている。そのためレトバ湖は、ラック・ローズやピンクレイクと呼ばれることが多い。

フォゴ島(カーボベルデ)

島の名前のフォゴは、ポルトガル語で「火」や「炎」を意味し、島全体が黒い活火山になっている。

主要なクレーターの内部に7つの小さなクレーターがあり、各クレーターは同火山の長い歴史の中で発生した異なる噴火によって形成された。

科学者らは、7万3000年前に発生した巨大な噴火で島の片側が崩壊し、その衝撃で高さ約250メートルの巨大な津波が発生したとみている。そして、その波は近隣の島々を引き裂くように進み、島にトラック大の巨大な岩が散乱しているのはそのためと考えられている。

島の火山は現在も活動中(最後に噴火したのは2014年)だが、島には今も4万人が暮らしている。

島民は農業を営んでおり、クレーター内のブドウ園ではアルコール度数の強いワインを生産している。また火山の反対側にはコーヒー畑があり、ふもとには黒い砂のビーチが広がる。

バイカル湖(シベリア)

バイカル湖(シベリア)

シベリアの奥深くに位置するバイカル湖は、面積がベルギーよりも広く、水量はアメリカ五大湖を上回る。

非常に隔絶した場所にあるため、世界の他の場所では見られない動植物が多く生息し、進化を研究する科学者らにとっては「北極のガラパゴス諸島」ともいえる場所だ。

このバイカル湖が別世界に見える理由は「氷」だ。

年に最低4カ月は凍結するこの湖の水は非常に澄んでおり、凍結すると驚くほど鮮やかな青色になる。

デボン島(カナダ)

世界最大級の無人島であるデボン島には、直径約23キロのクレーターがある。島の気温があまりに低いため、クレーターは3900万年前に形成されて以来ほとんど変わっていない。

クレーター内では最新技術を使った通信すら困難なため、科学者の間では「地球上の火星」と呼ばれている。

NASAは、この場所で人類が火星に移住した際の生活のシミュレーションを行っており、さらに月面車や火星探査車のオフロードテストも行われている。

この場所に到達するのは至難の業だが、バックパッカー向けのツアーがあり、また島を周回するクルーズ船もある。

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