(CNN) 太陽光発電のエネルギーだけで世界一周飛行を目指している飛行機「ソーラー・インパルス2」が23日、大西洋の横断に成功した。太陽光エネルギーのみで飛ぶ航空機が大西洋を横断するのは世界で初めて。
23日早朝、スペイン南部の都市セビリア上空に差しかかったソーラー・インパルス2を迎えたのは、スペインのアクロバット飛行チーム「パトルージャ・アギラ」の歓迎飛行だった。
優雅な姿をしたソーラー・インパルス2は、翼幅はボーイング747と同じくらいだが重量はスポーツ用多目的車(SUV)ほぼ1台分に過ぎない。20日夜にニューヨークの空港を離陸し、71時間8分でセビリアの空港に着陸した。
パイロットのベルトラン・ピカール氏はスイス人の精神科医で、気球操縦の経験も持つ。
ピカール氏は「私がチームとともに証明したいのは、今日のクリーンな技術が信じられないような目標に到達できるということだ。燃料なしでも燃料を使うより長く飛べるし、自然の力で、太陽とともに飛べるのだ。エネルギーの新しい時代はすでに始まっており、みんなにも試す気になってもらいたい」と言う。
このプロジェクトは、ピカール氏と技術者で実業家のアンドレ・ボルシュベルク氏のアイデアで始まった。ソーラー・インパルス2は1人乗りのため、2人は交替で搭乗している。
昨年3月に同機はアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビを出発。夏の終わりまでに世界を1周して戻る予定だったが、中国での天候不順や日本での不時着といった予定外の事態が相次いで計画は大きく遅れた。
次の目的地はエジプトでボルシュベルク氏が搭乗する予定。その後、夏の終わりには最終目的地であるアブダビへと向かうという。