トランプ氏、選対本部長を解任 支持率低下に対応か

トランプ陣営の選対本部長を務めるコーリー・ルワンドウスキ氏(左)が解任された

2016.06.21 Tue posted at 14:47 JST

(CNN) 米大統領選の共和党候補に確定している実業家ドナルド・トランプ氏が20日、選対本部長のコーリー・ルワンドウスキ氏を解任すると発表した。同氏をめぐっては、トランプ氏の長女夫妻らとの確執が伝えられていた。

トランプ陣営の顔ぶれでは過去最大の変化になる。陣営内部では最近、本選へ向けて選挙戦の刷新を求める声が高まっていた。

ルワンドウスキ氏はトランプ氏を熱烈に支持し、親密な関係を守ってきた人物として知られる。解任は選対本部の広報担当者、ホープ・ヒックス氏が発表した。側近の1人によると、同日午前に開かれたトランプ氏の家族との週例会合で決定したという。

この決定はルワンドウスキ氏にとって青天のへきれきだったようだ。共和党のある情報筋によると、同氏は解任が発表される数時間前、20日午前の時点でまだ党全国委員会(RNC)のスタッフと電話で打ち合わせをしていた。

ルワンドウスキ氏はCNNとのインタビューで解任された理由を問われ、「分からない」と答えた。同氏は一方で、「私が知っているのは、我々がこの選挙戦で歴史的な業績をあげてきたということだ」と強調。トランプ氏との「和やかな会話」で「参加できて光栄だった」と告げたことを明かし、「実際に心の底からそう思う」と述べた。同氏が陣営の足を引っ張るようになっていたとされる説は繰り返し否定し、「この選挙戦に悔いはない」と断言した。

コーリー・ルワンドウスキ氏。選挙戦の進め方をめぐる批判にさらされていた

トランプ氏は20日夜放送のFOXニュースとのインタビューで、ルワンドウスキ氏を「よくやってくれた」と評価しつつ、「我々は少し違う道を行くことにした」と述べた。

この解任劇で中心的な役割を果たしたのは、かねてルワンドウスキ氏に批判的な見方を示してきたトランプ氏の長女、イバンカさんだ。イバンカさんの夫で強い発言力を持つジャレッド・クシュナー氏も最近、ルワンドウスキ氏との対立を深めていた。さらに次男のエリックさんも最近同氏と決裂し、選挙戦の進め方に不満を示していたとされる。

内部事情に詳しい情報筋によると、イバンカさんは20日、自身が選挙戦から手を引くことも辞さない姿勢を示してトランプ氏を説得したという。陣営内部では今後、クシュナー氏がますます重要な役割を果たすようになるとみられる。

トランプ陣営に近い筋の話によれば、同陣営は今回の解任により、支持率低下が目立つ選挙戦の行き詰まりを明確に認めたことになる。

トランプ氏の長女、イバンカさん

共和党は、トランプ氏が党候補に確定してからも過激な発言を控える意思を示さないことに懸念を深めている。トランプ氏の周辺では、ルワンドウスキ氏が同氏の言動をあおり、陣営が新たに経験豊かな参謀を迎え入れたりスタッフを増員したりするうえで妨げになると問題視されていた。

今年新たに参謀に就任し、より伝統的な戦略を主張しているポール・マナフォート氏は、ルワンドウスキ氏と激しく対立してきた。RNCのプリバス委員長も先週以降、私的な会話の中で同氏の解任を主張していたという。

選対本部メンバーの間には、これを機に選挙戦の立て直しが進むとの見方が広まっている。顧問の1人は「これまでは遊説というよりコンサートツアーだった」と話し、本選へ向けた選挙戦の変化に期待を示した。

ただ別の顧問は、トランプ氏自身に言動を慎む気がなければルワンドウスキ氏を解任しても意味がないと指摘。「本人がマナフォート路線へ完全に切り替ようとしない限り、良い結果になるかどうかは分からない」と話している。

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