国際陸連、ロシア陸連の資格停止を継続

IAAFのセバスチャン・コー会長。今回の決定を「陸上競技にとって最善の形」と述べた

2016.06.18 Sat posted at 10:23 JST

(CNN) 国際陸上競技連盟(IAAF)は17日、ウィーンで理事会を開き、ロシアのドーピング問題への対応は要求される水準に達していないとして、ロシア陸連に科していた資格停止処分の継続を全会一致で決定した。これによりロシアの陸上選手は、8月のリオデジャネイロ五輪に出場できない公算が高くなった。

調査にあたったIAAF独立作業部会のトップ、ルネ・アンダーセン氏はロシアの反ドーピング対策について、大きな進展があったものの、いくつかの重要な基準が依然として満たされていないと指摘。「ドーピングを許容する文化が深く根付いており、これは実質的に変わっていないとみられる」と述べた。

ロシア陸上界のヘッドコーチや選手の多くは、ドーピング問題の重大性を認める意識がないように見え、ドーピング対策のために設けられた規則も無視しているという。

同作業部会の調査では、「ドーピングの検知と抑止を可能にする強力で効果的な反ドーピング体制」をロシアが依然として整備できていないことも判明したと言及。ロシア当局が組織ぐるみでドーピングを行い、不利な検査結果を隠ぺいしていたとも指摘した。

国際オリンピック委員会(IOC)は21日に会合を開き、IAAFの決定を支持するか決める見通し。これによりロシアの陸上チームがリオ五輪に参加できるかが決定される。

プーチン大統領は以前、国ぐるみでのドーピング支援はなかったと強調

ロシア・スポーツ省は、五輪出場停止はロシアの選手個人や国民に与える影響が大きいだけでなく、五輪そのものの魅了を減じることになりかねないとして、IOCに訴えていく意向を示した。IAAFの決定については「非常に失望した」と述べた。

IAAFのセバスチャン・コー会長は今回の決定について、「陸上競技にとって最善の形」で下されたと評価。一方、IAAFによれば、反ドーピング体制がより厳格な他国で練習してきたロシア人選手については、個人でのリオ五輪出場を模索できるようにする新規則を導入したという。

一方、ロシアの国営タス通信は、IAAFが公式に決定を発表する前から、今回の裁定に不服を示す選手らの声を紹介した。2004年と08年の大会で金メダルを獲得した女子棒高跳びのエレーナ・イシンバエワ選手は「これは人権侵害だ」だと指摘。何らかの手段に訴える意向を明らかにした。

ロシアのプーチン大統領はIAAFの決定が発表される前、一部の選手がドーピングを行っていたからといって、すべての選手に集団責任を負わせることはできないと言及。また、国ぐるみでドーピング支援が行われたことはないとも強調した。

IAAFは昨年11月、世界反ドーピング機関(WADA)がロシア陸上界にまん延しているとするドーピング問題について詳細な報告書を発表したのを受け、ロシアの陸上選手に暫定の資格停止処分を科していた。

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