銃弾による死亡率上昇、殺傷力の高まりで 米研究

銃撃による死亡率が高まっているとの調査結果が発表された

2016.06.15 Wed posted at 16:41 JST

(CNN) 銃の殺傷力が高まったことや弾倉の大容量化により、銃で撃たれた患者のけがが重度化し、死亡率も年々高まっているという調査結果が14日の米医師会誌に発表された。「隠された公衆衛生問題」と向き合わなければ、コロラド州で起きたような事件の犠牲者がさらに増えると警鐘を鳴らしている。

研究チームは銃弾で負傷してコロラド州デンバーの病院で手当てを受けた患者の傷の状態を調べた。

その結果、10年前と比べてけがの程度は重傷化し、複数箇所を撃たれた患者が増え、死亡する患者も増えていることが分かった。

転んだり刃物で刺されたりして外傷を負った患者の場合、そうした傾向は見られなかった。

調査対象とした2000~13年の間に、銃弾による死亡率は2年ごとに平均約6%ずつ上昇していた。ただ研究チームによると、今回調査したのは1つの病院で、結果を一般化するのは難しいとしている。

論文を発表した医師の1人は「傷口の大きさは2センチではなく3センチになり、ダメージが大きくなった。手当てしなければならない傷口の数も増えた」と指摘する。

米医師会は銃による暴力は「公衆衛生危機そのもの」だとする見解を示した

調査データはこれらの原因に触れていないが、論文の共著者で世界的に有名な外科医のアーネスト・ムーア氏は、銃の殺傷力が高まり、弾倉の容量が増大したことが要因だと語る。「現在使われている短銃は15~20年前に比べて、組織に重度の損傷を負わせる能力が高くなった」「何発もの銃弾が発射される武器を使えば銃撃を続けることができ、ダメージは銃弾1発の場合よりもはるかに大きい」という。

ムーア医師は先週も6発撃たれた患者の治療をしたといい、「それももう珍しいことではなくなった」と指摘。そうした話は全米の外科医から聞かされると語った。

研究チームはコロラド州全体での調査を希望していたものの、資金的な理由で実現しなかったという。1996年に米連邦議会は疾病対策センター(CDC)が銃暴力関連の研究に資金提供するのを原則禁止とした。2013年のコネティカット州サンディー・フック小学校での銃乱射事件後、オバマ大統領はその措置を解除する大統領命令に署名。だが、議会はその後も資金供給を阻んでおり、他の資金源も足りていない状態だという。

米医師会は14日、銃による暴力は「公衆衛生危機そのもの」だとする見解を確認。ムーア医師も、「もし殺傷力の高い武器や大容量の銃が普通に利用できるのなら、オーランドのような大量殺人は今後もまた発生し、重いけがを負って障害やまひが残る人が増えるだろう」と話している。

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