ニューヨーク(CNNMoney) 米マイクロソフトは13日、ビジネス向け交流サイト(SNS)大手の米リンクトイン(LinkedIn)を262億ドル(約2兆8000億円)で買収する計画を発表した。マイクロソフトの企業買収としては過去最大、IT業界でも史上5番目の大型案件となる。
マイクロソフトはリンクトイン株を1株当たり196ドルで買収する。これは10日の終値に50%上乗せした金額。
ソフトウェア世界大手のマイクロソフトは、ビジネスユーザーのデータベースや自社の製品を普及させるための手段としてリンクトインを利用したい考え。リンクトインは資本を増強して会員数の増大を図る。
マイクロソフトに詳しいモーニングスターのアナリスト、ロドニー・ネルソン氏によると、特に営業や人事の分野で両社の合併による相乗効果が見込まれる。
例えば営業担当者はマイクロソフトの電子メールサービス「アウトルック」を通じて売り込みをかける相手を探したり、リンクトインの情報を見ながら宣伝メールを書いたりできる。
人事担当者は、リンクトインに掲載された採用候補者の職歴を参考にしながら提示する給与や配属を決定できる。
リンクトインは数年にわたって株式市場でSNSの中でも特に好調な実績を上げてきたが、ここ半年ほどはフェイスブックに押されて株価が落ち込み、年初来で42%下落していた。
昨年の売上高は前年比35%増の30億ドル。会員数は世界で4億3300万人に上る。しかし増加のペースは減速していた。
買収は年内に完了する見通し。リンクトインのブランドは残し、最高経営責任者(CEO)のジェフ・ワイナー氏は留任してマイクロソフトのサトヤ・ナデラCEOの直属となる。
ナデラCEOは、「リンクトインは世界のプロフェッショナルの交流を中心とした素晴らしいビジネスを成長させてきた」「我々が一緒になれば、リンクトインおよびマイクロソフト・オフィス365の成長を加速させることができる」と述べている。
業界ではマイクロソフトが1年以内に大型買収に出るのではないかとうわさされていたものの、リンクトインは予想外だった。「このニュースは誰も予想していなかったと思う」とモーニングスターのネルソン氏は話す。
SNSではやはり業績が伸び悩んでいるツイッターも買収されるのではないかという観測が出ている。マイクロソフトによるリンクトイン買収が発表されると、ツイッター株は一時6%上昇した。