(CNN) 魚は見慣れた人間の顔と見知らぬ顔を、驚くほどの正確さで見分けることができる――。英オックスフォード大学の動物学者、ケイト・ニューポート博士らがこのほど、熱帯魚のテッポウウオを使った実験の結果を発表した。
魚にこうした能力があると立証されたのは初めて。同大学とオーストラリア・クイーンズランド大学の共同チームによる研究が7日、英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。
ニューポート博士によると、チームは単純な脳を持つ動物が人の顔を認識するという複雑な課題に対応できるかどうかを調べる研究に取り組んでいる。魚を対象に選んだのは、人間が顔を認識する時に使う脳の領域が魚にはないから。特にテッポウウオは、口から水を噴き出して狙った的に正確に命中させることができるため、実験に最適と判断した。
実験はテッポウウオに顔を覚えさせたい人物1人の画像を決め、ほかに用意した44人の顔のうち1人の画像と並べて見せるというもの。2人のうち、教えた人物の方に水を噴き出せばえさを与えるという方法で当該の人物の画像を覚え込ませる。2~3日で識別できたケースもあれば、2週間かかるケースもあった。最終的には81%の確率で正解が出せるようになった。
チームは難易度を上げるため、写真を白黒にして人物の輪郭をそろえてみた。すると的中率は下がるどころか、86%に上がったという。
チームは今後、魚が人間の顔以外のものも見分けられるかどうか、さらに研究を進める構えだ。
家庭の水槽で泳ぐ魚も飼い主の顔を認識しているのか、という質問に、ニューポート博士は「魚の種類によってはその可能性もある」と答えた。
同博士によると、実験室のテッポウウオは見知らぬ人がやって来ると「おどおどしたような」様子を見せ、博士が部屋に入ると水を噴きかけてくる。「しかも、ピンポイントで目を狙ってくることが多い」という。