(CNN) 健康的な食生活の秘訣(ひけつ)は意外に簡単だ。食品のラベルを読んだり、カロリー計算をするよりもまず、自分の食習慣を振り返ってみよう。
ある調査によると、人はある習慣に慣れすぎると、それを行っていることをほとんど意識しなくなるという。間食が習慣化し、無意識に食べるようになると厄介だ。
実際、ある作業が習慣化すると脳は基本的に活動を停止する。そう語るのは「Mindless Eating:Why We Eat More Than We Think(邦題:そのひとクチがブタのもと)」という著書を持つブライアン・ワンシンク氏だ。
「習慣は無意識化してしまう(中略)環境は良い習慣を促進するが、逆に悪い習慣も促進する」(ワンシンク氏)
そこで重要なのは、良い食習慣を作り、それを忠実に実行することだ。しかし、これは決して意志の力のみに頼るということではない。必要なのは環境を変えることだ。
「普段歩く場所から約1メートル以内のカウンターの上にフルーツの入った器を置いておくだけで、フルーツを食べる量は大幅に増え、何もしない場合と比べ約7割も増加する」とワンシンク氏は語る。
台所を片付けよう
米国では、「スマーターランチルーム」運動と呼ばれる同様の取り組みが2万9000校以上の学校で実施された。
食べ物の与え方、提示の仕方を変えることにより、生徒たちは「ファイブ・ア・デイ(1日5皿分以上の野菜や果物を摂取する取り組み)」を以前よりはるかに積極的に実行するようになった。
「店のレジの隣に果物が入った器を置くことで、果物の売れ行きが104%上がる。また、野菜にラベルや名前を添付する、例えばにんじんに『カリカリにんじん』という名前を付けることにより、にんじんを食べる子どもが約3割増えることが分かった」(ワンシンク氏)
自宅の台所を片付けるのも非常に効果的だ。散らかった台所にいると、きれいな台所にいる時と比べ、間食の量が約4割も増えるという調査結果もある。
この原理は1回の食事の分量にも働くようだ。ワンシンク氏の調査によると、食事の時に小さめの皿を使用するだけで食べる量が22%も減るという。
意志力の問題ではない
悪い習慣を改めるには、意志の力に頼るのではなく、環境を変えることが重要だ。
「意志力だけではうまくいかない。ダイエットが続かないのはそのためだ。しばらくの間は続くが、そのうち元の悪い習慣に戻ってしまう。そこでわれわれが推奨しているのは、行動、ライフスタイル、環境を変えることだ」と語るのは、コーネル大学の食品・商標研究所の研究者ジョン・ブランド氏だ。
台所をきれいに保つにせよ、常に果物を手の届く所に置くにせよ、重要なのは自然に健康的な食生活が送れる環境を整えるということだ。
「習慣を変えるのは非常に難しいが、環境を変えるのは非常に簡単だ」(ブランド氏)