ISIS、メンバー21人を処刑 スパイ行為への疑念拡大か

ISIS内で、有志連合に情報を提供したとしてメンバーが処刑されたという=ISIS

2016.06.07 Tue posted at 14:46 JST

ワシントン(CNN) 過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の幹部が有志連合の空爆で死亡したことに関連して、内部の戦闘員21人が処刑されていたことが分かった。

シリアに情報源を持つ在英の非政府組織(NPO)「シリア人権監視団」のラミ・アブドルラフマン代表によると、司令官が殺害された3月30日の空爆をめぐり、有志連合に情報を提供したとされるメンバーが4月から5月にかけて処刑された。

アブドルラフマン氏によれば、このうち一部のメンバーは金が欲しくて情報を渡したとみられる。ISISはここ数カ月間、資金源の油田を空爆されて収入がかなり減っている。戦闘員の中には給料を引き下げられた者もいるという。「ISISのメンバーは指導者たちを心から信頼してはいない。内部には外国情報機関に属するグループが存在しているかもしれない」と、同氏は指摘する。

専門家や米当局者らによると、ISISは最近イラクやシリアで支配地の多くを失い、何人もの最高幹部を殺害された結果、内部に病的な不信感が広まっているようだ。

ISIS支配地域の奪還を目指し、攻勢をかけるイラク軍=イラク国防省

ISISの内部事情に関する共著書があるマイケル・ウィース氏は、「ISISは数カ月のうちに戦争相、ナンバー2だった幹部、石油相を相次いで失った」と指摘する。同氏が離反者とのインタビューで聞いた話によると、シリアのアサド政権、イラクの情報当局やクルド人、ロシアあるいは有志連合を構成する仏、英、米国の工作員らがスパイ行為を仕掛けているのではないかという強い疑念が、ISIS全体を覆っているという。

ISISの最近の宣伝ビデオからは、内部抗争の兆候やスパイ志願者への警告を読み取ることができる。

例えばある映像は、ISISが本拠を置くシリア北部ラッカでスパイとされるメンバーらが十字架に縛りつけられ、群衆の前で撃たれる場面を映し出した。また別の映像では、仲介人から金を受け取って有志連合向けの情報を渡したと告白した男たちが車ごと爆破された。

ISISの宣伝誌は先月、ISISに潜入して戦闘員数人の殺害を手助けしたロシア人女性が拘束され、処刑されたと伝えている。

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