(CNN) フランス当局は同国で10日から開催されるサッカー欧州選手権(ユーロ2016)に向け、銃撃や遠隔爆破、爆弾搭載の無人機や化学兵器など、あらゆる手口のテロに備えて厳戒態勢を敷いている。
ウクライナの保安当局は6日、欧州選手権の前や開催中に仏国内で複数のテロを計画していたとして、仏国籍の男1人と共犯者1人を逮捕したと発表した。
過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」は欧州選手権をテロの標的にすると明言している。欧州選手権にはISISと戦う有志連合の国々を含め、計24の国と地域が参加する。
オランド仏大統領は5日、ラジオ局とのインタビューで「100%の安全と危険ゼロを保証するのは不可能だ」と述べ、「脅威は存在する」と強調した。
仏当局は昨年11月のパリ同時多発テロで出した非常事態宣言を7月末まで延長した。宣言下では警察が危険人物を自宅拘禁する権限が強化され、デモや集会の禁止も可能になる。
欧州選手権では仏国内10カ所の会場で51の試合が行われ、欧州各地から数百万人の観客が訪れる。当局は試合会場やサポーターらの集まる場所に計10万人近い治安要員を配置。スタジアムや参加チームの滞在先上空を飛行禁止区域に指定した。
また会場周辺には、不審な無人機を破壊せずに乗っ取って制御し、標的からそらせる技術が導入された。
パブリック・ビューイングの会場となる野外の「ファンゾーン」も警備を固める必要がある。最も規模が大きいエッフェル塔下のゾーンには期間中、9万人が訪れる見通しだ。
ISISや国際テロ組織アルカイダにとって、全世界の数十億人が実況放送を見守る欧州選手権のようなイベントは格好の標的となる。パリの同時テロでも、現場の一つはサッカースタジアムだった。7月に開かれる自転車ロードレース、ツール・ド・フランスも狙われる恐れがある。
スタジアムで保安検査を強化して入り口の数を減らすと、その入り口に入場待ちの観客が集まり、かえって狙われやすくなることも考えられる。
仏国内ではこのところ、北部の洪水や労働者らのストライキで緊張が高まっている。しかしオランド大統領は、欧州選手権を「欧州の祭典、市民たちの祭典にする」という政府の決意は固いと強調した。