警察幹部の妻が惨殺、テロ対策への報復か バングラデシュ

2016.06.06 Mon posted at 10:49 JST

バングラデシュ・ダッカ(CNN) バングラデシュ南部の沿岸都市チッタゴンの地元警察は6日までに、テロ対策の実績で知られる警察幹部の妻が、何者かに襲撃されて殺害されたと明らかにした。

チッタゴン警察によると、マフムダ・カナム・ミトゥさん(32)は現地時間の5日午前7時ごろ、自宅から約90メートル離れた人通りの多い交差点で息子をスクールバスに乗せようとしていたところ、背後から3人の人物に襲撃されて地面に倒れ、8カ所を刺されて頭部を撃たれた。

襲撃犯は20代半ばとみられ、宙に向けて銃を撃ち、周囲の人たちがひるんだすきに逃走した。ミトゥさんの息子は無事だった。

ミトゥさんの夫、バブル・アクテル氏は、非合法組織「ジャマトゥル・ムジャヒディン・バングラデシュ(JMB)」摘発の実績で知られる警察幹部で、この職務に関連して脅迫を受けていた。

警察は今回の殺人について、アクテル氏の職務に関連した計画的な犯行とみて調べている。ただ、関連を裏付ける証拠は見つかっていないという。

遺族を弔問した同国のカマル内相は記者団に対し、警察の士気をくじくための計画的犯行だったと断言。「武装集団による報復だった可能性がある」と語った。

警察は防犯カメラの映像を公開して逃げた襲撃犯の行方を追っている。

アクテル氏は米国や中国で訓練を受け、チッタゴンやコックスバザールでイスラム過激派に対する大規模なテロ掃討作戦を展開、その功績を認められて何度も表彰されていた。

昨年10月には、アクテル氏率いる掃討作戦で指導者が殺害された報復として、JMBが同氏を襲撃する事件が起きた。報道によると、アクテル氏はこの事件以来、家族の身を案じていたという。

アクテル氏は最近、首都ダッカの警察本部へ異動になっていた。

バングラデシュはイスラム教徒が大半を占め、ここ最近は、世俗派や少数派宗教の信者、同性愛活動家などを狙ったイスラム過激派の犯行とされる殺人事件が急増している。

米国の駐バングラデシュ大使によると、そうした事件は過去14カ月で少なくとも35件発生し、うち23件はイスラム過激派組織が犯行を認める声明を出した。

昨年9月には、イスラム過激派がバングラデシュ国外でも世俗派を襲撃すると予告。欧州や北米在住者の「殺害予告リスト」を公表していた。

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