ロンドン(CNNMoney) 市場調査企業ユーロモニター・インターナショナルは4日までに、フランスを今年1~3月の第1四半期に訪れた外国人観光客らは前年同期比で8%減と大きく落ち込んだと報告した。
パリ内外で昨年1月と11月に起きた大規模テロ事件などの影響。現在も豪雨による洪水被害や雇用改革案への抗議ストライキの多発に直面しており、同国の観光業界の前途は険しくなっている。
フランスを昨年訪れた観光客は世界最多の約8500万人。毎年の観光収入は約400億ユーロ(約4兆8400億円)となっている。
昨年11月のパリ同時多発テロ後、フランスに乗り入れる主要航空会社の予約は軒並み減少。エールフランスは月間5000万ユーロの収益減を報告している。
米国務省は今週、欧州内で新たなテロ発生の恐れがあると米国民に警告。フランスで6月10日に開幕するサッカーの欧州選手権(ユーロ)の試合会場などが狙われる恐れがあると注意を促した。
パリを貫通するセーヌ川が決壊するなどした洪水被害では、観光客に人気のルーブル、オルセー両美術館が収蔵品の移送のため閉鎖を強いられた。ルーブルの入館者は年間約900万人。ただ、テロ事件後には減り、学校の集団見学は25%激減していたという。
ストライキは石油精製、原子力発電所、鉄道や地下鉄の公共輸送網などで発生した。雇用主による従業員解雇をより容易にし、残業代の削減などを狙う新たな労働関連法の改革への反発が原因となっている。
エールフランスの主要2労組も6月中旬に、同調してのスト決行の構えを見せている。実施されれば多数の観戦者を期待する欧州選手権には大きな痛手となる。