ナイジェリア、大気汚染が深刻化 世界ワースト20に4都市

2016.06.01 Wed posted at 15:45 JST

(CNN) アフリカ西部の大国ナイジェリアで近年、大気や水質などの環境汚染が深刻化している。世界保健機関(WHO)がこのほど発表した世界の大気汚染に関する統計では、ナイジェリア南部のオニチャが世界最悪と判定されたのをはじめ、同国から計4都市がワースト20に入った。

オニチャでは、大気汚染の指標となる微小粒子状物質(PM)のPM10の濃度がWHOによる基準値の30倍を記録した。

ナイジェリアではこのほか、北部の交通拠点カドゥナがワースト5位、南部にある商業都市のアバとウムアヒアがそれぞれ6位と16位に位置している。

世界銀行が昨年出した報告によると、ナイジェリアではWHOの基準値を超えた大気汚染にさらされている住民が人口の94%を占める。アフリカ・サハラ砂漠以南の地域全体の平均は72%だ。ナイジェリアが大気汚染でこうむる経済的な損失は、国民総所得の約1%に上っているという。

ナイジェリアから4都市がワースト20に入った

WHOのマリア・ネイラ公衆衛生・環境局長がCNNに語ったところによれば、汚染の主な原因としては固形燃料を使った調理やごみの焼却、旧式の車が出す排ガスが挙げられる。排ガスに規制は設けられていない。電力の供給が不安定なため、換気設備のない場所で自家発電装置を使っているケースも多い。

ナイジェリアはこの10年間で飛躍的な発展を遂げ、2014年には南アフリカを抜いてアフリカ大陸最大の経済大国となった。適切な技術が導入されないまま産業が急速に発達した結果、環境汚染に拍車がかかっていると、ネイラ氏は指摘する。

ただネイラ氏によると、WHOの報告書は大気汚染の測定データがある人口10万人以上の都市を対象としているが、アフリカには測定自体をしていない都市も多い。同氏は「ナイジェリアの4都市は、少なくとも汚染レベルを測定しているという点で称賛に値する。測定しない都市の中には非常に深刻なケースもあるなか、これらの都市は汚染防止に向けて行動している」と話す。

アフリカの都市には2030年までに世界人口の50%が集中するとの予想もあり、都市人口の健康問題は大きな懸念材料となっている。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。