(CNN) リビアの沿岸沖で25日、欧州を目指す難民や移民など数百人の乗った船がイタリア海軍艦の目の前で転覆して全員が海上に投げ出され、5人が死亡した。
同船は定員を大幅に超す乗船者で満員状態だったが、イタリア海軍艦が近付いてくるのを見て乗船者が左舷に押し寄せたために船が傾き、次々に海に転落した。
海軍艦の乗員が撮影した写真には、傾いた船にしがみついたり、近くにいる人につかまったりする人たちの姿が写っている。船が横倒しになると、危険を察知して泳いで船を離れる人もいたが、右舷にしがみついたままの人もいた。船はそのまま転覆し、全員が海に投げ出された。
イタリア艦はライフジャケットや浮き輪を投げ、ゴムボートやヘリコプターを使って562人あまりを救助したが、5人は死亡した。
当時この海域の波は穏やかで、水温は20度前後だった。
シリアの内戦を逃れた難民や移民は、危険を冒して船に乗り、海を渡って欧州を目指す。しかし中には航海に耐えられない船もあり、難破したり故障したりする事故が後を絶たない。
国際移住機関(IOM)によると、過去数日で救助された難民や移民は2700人を超えた。
2015年は3700人以上が欧州にたどり着こうとして地中海で命を落とした。今年に入ってからこれまでの死者は1370人と、前年の同じ時期の1792人と比べて24%減っている。
ただ、気候が暖かくなってきたことから、欧州を目指す難民や移民の数は最近になって増加傾向にある。
多くの船がイタリアを目指していることから、イタリア海軍は日常的に救助活動を行っている。