ベルギー刑務所、職員ストで環境悪化 受刑者の釈放も

2016.05.25 Wed posted at 14:40 JST

ブリュッセル(CNN) ベルギー国内の刑務所職員らが労働条件の改善を求めるストが長引き、各刑務所では人手不足から環境が極度に劣悪化している。ブリュッセル首都圏ではこの影響で、一部の受刑者が釈放された。

ベルギー南部ワロン地域議会のオンケリンクス副議長がこのほど視察した刑務所では、1000人の受刑者に対して100人いるはずの看守のうち、わずか10人で業務をこなしていた。

オンケリンクス氏はCNNとのインタビューで「所内はひどい衛生状態で悪臭が立ち込めていた。衝撃的な訪問だった」「この世の終わりのような光景だった」と振り返った。

ブリュッセルの第一審裁判所長がCNNに語ったところによると、刑務所の環境は長年にわたり「非人道的」との批判を受けていたが、先月26日から続いている職員のストでさらに悪化している。

ブリュッセル近郊フォレストの刑務所ではストのため、1つの独房に受刑者3人が48時間続けて閉じ込められ、バケツをトイレとして使っている。弁護士との会見もままならない状況だという。

極度の人手不足に陥った首都圏内の刑務所からは、これまでに少なくとも計10人の受刑者が釈放された。裁判長は「個別の判断に基づく釈放で、受刑者全員に適用されるわけではない」と強調する一方、所内の状況が判断に影響を及ぼしたのは明らかだと語った。

職員らは予算削減や人手不足、硬直化した勤務体制などに抗議してデモを続けている。17日にはブリュッセル市内でデモ隊が暴徒化し、司法省に突入する騒ぎが起きた。

ヒーンス司法相はCNN系列局とのインタビューで「対話を重んじる文化が損なわれた」と嘆いた。ヒーンス氏はこれまでに、同国の刑務所がかねて国内外から批判されてきたことを認め、施設の建て替えや職員増員などの計画を示している。

ベルギーではこれまでも、受刑者が獄中で過激思想に感化される問題が指摘されてきた。パリ同時多発テロの首謀者アブデルアミド・アバウド容疑者も、同国の刑務所内で過激派に加わったとされる。環境の劣悪化に受刑者が緊張をさらに募らせて過激化したり、不満を爆発させたりする事態が懸念されている。

ベルギーの刑務所、職員ストで環境悪化

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