(CNN) パリ発カイロ行きのエジプト航空804便(エアバスA320型機)の墜落は、発生から5日たった24日も胴体部分やブラックボックスの捜索が続けられた。原因究明の手がかりは依然として見つからず、墜落直前の様子についてはエジプト当局とフランス当局の説明に食い違いが生じている。
これまでの捜索ではライフジャケットや乗客の手荷物、機体の残骸の一部などが回収された。
遺体の一部も収容され、カイロで身元確認作業が進められている。エジプト航空のアフメド・アデル副会長によれば、乗客の家族からDNA鑑定のための試料を集める作業はほぼ完了した。
しかし遺体の状況から同機で爆発があったかどうか判断するのはまだ時期尚早だとアデル氏は話し、マスコミが伝えている情報は「すべて憶測」にすぎないと強調した。胴体がどこにあるのかについてエジプト航空に情報はなく、捜索範囲は広範に及ぶと指摘している。
同機は地中海の上空3万7000フィート(約1万1300メートル)の高度を飛行中、ギリシャからエジプトの領空に入る直前で連絡が途絶えた。
ギリシャ国防相は当初、同機はエジプトの領空に入るところで針路を左に90度転換し、続いて360度旋回して急降下したと述べていた。
これに対してエジプト国営航空管制サービス会社の幹部は国営メディアのアハラムに対して22日、同機は方向転換も急降下もしていなかったと説明。3万7000フィートの高度を保ったまま針路をそれることなくエジプト領空に入り、約1分後にレーダーから消えたとしている。
エジプト航空のアデル氏はこの矛盾について24日、「決定的な情報はブラックボックスから引き出せる。だがまだ回収はされていない」と語った。
捜索が行われている海域は最大で約3000メートルもの深さがあり、エジプトの潜水艦やフランスの潜水艇も出動してデータレコーダーの捜索に全力を挙げている。
捜索活動は時間との戦いだと航空専門家のジャスティン・グリーン氏は解説。「もし30日以内にブラックボックスを発見できなければ、音波信号が発信されなくなり、発見は相当困難になる」と指摘した。
物理的な証拠がない中で、墜落原因を巡っては爆弾や機械の故障、操縦ミス、さらには故意に墜落させた説などあらゆる憶測が飛び交っている。現時点で犯行声明は出されておらず、これまでの捜査でも乗員や乗客に不審者は見つかっていない。