カイロ(CNN) パリからカイロへ向かう途中で19日未明に消息を絶ったエジプト航空804便(エアバスA320型機)は、機影が消えたギリシャ沖の海上付近で軍などが捜索を続けている。地中海で残骸が見つかったという情報は誤りだったことが判明。墜落原因についてエジプトの当局者は、テロの可能性が高いとの見方を示した。
同機は現地時間の18日深夜に乗客56人と乗員10人を乗せてパリを発ち、19日未明に連絡が途絶えた。一時、地中海で残骸が見つかったという情報が流れたが、エジプト航空のアフメド・アデル副会長によれば、捜索隊がこの残骸を調べた結果、不明機のものではなかったことが判明した。
墜落原因についてエジプトのシャリフ・ファトヒ民間航空相は、技術的問題とテロの両方の可能性があるとしながらも、「状況を的確に分析すると、技術的問題よりもテロ攻撃の可能性の方が高い」と語った。
同機は定期点検では異常は発見されず、搭乗者名簿からも現時点で要注意人物は見つかっていないという。
複数の米政府当局者も、同機が爆弾によって墜落したとの見方を強めていることを明らかにした。ただ、確かな証拠に基づく判断ではないとしている。オバマ大統領も状況について報告を受けたという。
ギリシャ民間航空局によれば、管制塔が同国ケア島の上空3万7000フィート(約1万1300メートル)上空を飛行していた同機と通信した時点では、異常はない様子だった。
しかし同機がギリシャの領空を離れる直前の19日午前2時27分、カイロに管制を引き継ぐために再び連絡を取ろうとしたところ、繰り返し呼びかけても応答がなかった。
同機は2分後にエジプトの領空に入り、40秒後にレーダーから機影が消えた。
ギリシャ国防相によると、同機はエジプトの領空に入った直後、突如針路を左に90度転換し、続いて右に360度旋回。高度を1万5000フィート、そして1万フィートへと連続して急降下させ、レーダーから消えた。
同機は18日午後11時9分にパリのシャルルドゴール空港を発ち、約3時間半でカイロに到着する予定だった。
エジプト航空相によると、乗客の内訳はエジプト人30人、フランス人15人、イラク人2人、英国、ベルギー、クウェート、サウジアラビア、スーダン、チャド、ポルトガル、アルジェリア、カナダ人が各1人。
ギリシャ軍は、同機がレーダーから消えたカルパトス島の南南東130カイリ(約240キロ)の地点を中心に捜索を行っている。米海軍も捜索支援のため哨戒機を派遣。エジプト軍も捜索にかかわり、フランスも偵察機を派遣したことを明らかにした。20日午後には暴風雨も予想され、捜索が難航する恐れもある。
乗客の家族らはカイロとパリの空港に設置された対策センターに集まっている。
エジプト機が消息を絶つまでを追う