ケンタッキー辛勝の民主クリントン氏、前途多難か

ケンタッキー州でクリントン氏(右)が辛勝、オレゴン州でサンダース氏が大勝した

2016.05.18 Wed posted at 22:00 JST

(CNN) 米大統領選に向けた民主党の候補指名争いで、ヒラリー・クリントン前国務長官は17日、ケンタッキー州の予備選をごく小差で逃げ切ったものの、オレゴン州でライバルのバーニー・サンダース上院議員に完敗した。同党の指名はクリントン氏が獲得する見通しだが、その前途は決して安泰ではない。

ケンタッキーは、クリントン氏が2008年大統領選の予備選でオバマ現大統領に35ポイントの差をつけて圧勝した州だ。クリントン氏は今回、同州にかなりの資金をつぎ込んで熱心に支持を訴えたが、敗北の屈辱をかろうじて回避する結果にとどまった。

サンダース氏は同日、カリフォルニア州での集会で、クリントン陣営からの撤退圧力をはねつけ、「最後の一票が投じられるまで」レースに残留すると改めて表明した。

クリントン氏はこの日の夜、公の場に姿を見せず、ただツイッター上に陣営からケンタッキー州住民への感謝の言葉が投稿された。

ケンタッキー州での薄氷の勝利は、本選へ向けた党内の結束が容易ではないことを示している。クリントン氏が最終的に民主党候補の座を確保するとの見通しにもかかわらず、サンダース氏の指名を望む党員がまだ何万人もいる。クリントン氏が得ている支持の強さや労働者層へのアピール、個人的な選挙手腕などをめぐる疑念は、本選でも不安材料となる恐れがある。

ドナルド・トランプ氏。クリントン氏がケンタッキーで負ければ「撤退した方がいい」と発言

クリントン氏とサンダース氏がこれまでに獲得した一般代議員の人数には、すでに約280人の差がついている。サンダース氏が逆転して指名を獲得する唯一の道は、党大会で自由に投票できる党幹部らの特別代議員をできるだけ多く説得し、クリントン氏から同氏へ支持を変更させるというシナリオだが、実現できる可能性は極めて低い。

一方でサンダース氏がレースに残ることにより、クリントン氏が本選に向けるべき時間や資金を党内対策に取られるのは確かだ。サンダース氏の支持者らは指名争いの仕組みに不満を募らせ、14日のネバダ州党大会では暴言を放つなど抗議行動を展開。会場は一時騒然となった。この一件をめぐり、党幹部とサンダース氏の間で非難の応酬も起きている。今まで共和党の指名争いの陰に隠れていた民主党内の分裂が、ここへきてあらわになった形だ。

民主党の混乱には、共和党の指名候補に確定している実業家のドナルド・トランプ氏も言及した。トランプ氏はケンタッキー州の結果発表を前に、クリントン氏は同州で勝てなければ「撤退した方がいい」などとツイートした。

同日には共和党もオレゴン州で予備選が行われ、実業家のドナルド・トランプ氏が勝利した。対抗馬だったテッド・クルーズ上院議員、ジョン・ケーシック・オハイオ州知事は既に撤退し、トランプ氏は指名を確実としている。

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