イスラエル北部カエサリア(CNN) イスラエル北部の地中海沿岸にある港湾遺跡カエサリアの沖合で、ダイバー2人が1600年前の沈没船を発見した。船の中からは古代ローマの硬貨や青銅像が見つかった。
沈没船が発見されたのは4月下旬。その後の海底調査で、ローマ神話の太陽神ソルをかたどった青銅のランプや月の女神ルナの像、瓶のかけらなど、砂の下に埋もれていた貴重な遺物の全容が明らかになった。
何千枚もの硬貨のかたまりも見つかった。2つのかたまりはそれぞれ約18キロの重さがあり、硬貨が詰まっていた陶器の形を残している。
硬貨には、4世紀に対立した西ローマ帝国のコンスタンティヌス帝と東ローマ帝国のリキニウス帝の肖像が描かれていた。
イスラエル考古学庁で海洋考古学部門を率いるヤコブ・シャルビット氏は、沈没船が見つかった場所に重要な手掛かりがあると指摘する。「再利用向けの金属を運んでいた大型船が港の入り口で嵐に遭い、漂流した末に防波堤と岩に激突したのだろう」と、同氏は話す。
現場に残っていた鉄製のいかりから、船の難破を何とか阻止しようとした跡がうかがえる。しかし風雨はあまりに強く、抵抗しきれなかったのだろう。船は浅瀬に座礁し、そのまま砂に埋もれてしまった。
シャルビット氏によると、金属製の像などは当時、必ず溶かして再利用されたため、今ではめったに残っていない。青銅の遺物は今回のように海で発見されることが多い。「これらの遺物は沈没のおかげで再利用に回されずに済んだ」「砂に守られていたため、保存状態は非常に良い。まるで昨日作られたばかりのようだ」と、同氏は説明する。
カエサリアは紀元前20年頃、ローマの重要な港として建設された。現在は国立公園に指定された観光地で、スキューバダイビングに訪れる人も増えている。
カエサリア沖では昨年2月にも、ダイビングをしていたグループが2000枚近い古代の金貨を発見した。