オバマ大統領、演説でトランプ氏牽制 「無知は美徳ではない」

大学の卒業生を前に演説するオバマ大統領

2016.05.16 Mon posted at 10:14 JST

(CNN) オバマ米大統領は15日、米ニュージャージー州にあるラトガース大学の卒業式でスピーチを行い、「政治においても実生活においても、無知は美徳ではない」と強調した。名指しこそしなかったものの、大統領選で共和党の指名が確実になった実業家のドナルド・トランプ候補を牽制(けんせい)した発言だったと思われる。

同大の卒業生1万2000人あまりを前にオバマ大統領は、「自分が何を言っているか分かっていないのは格好が悪い。それでは現実性を保つことも、現実のように思わせ続けることもできない。それは政治的正しさに対する挑戦ではない。ただ自分の言っていることが分かっていないだけだ。だが私たちはそのことに惑わされてしまう」と語りかけた。

オバマ大統領は最近行った別の演説でも、トランプ氏を念頭に置いた同様の発言を繰り返している。

トランプ氏を念頭に置いたとみられるオバマ大統領の演説を聞く卒業生ら

ラトガース大学のスピーチではさらに、米国は昔の方が良かったという主張に反論し、国境に壁を築くアイデアも否定。「それは人間の本性かもしれない。後ろを振り返って想像上の過去を懐かしみ、昔はみんながよく働いて経済は好調で、政治家はみな賢くて子どもは誰もが行儀良く、米国は世界中で何でもやりたいことができていたと考える」「しかし実はそうじゃない。古き良き時代はそれほど良くなかった」と指摘した。

トランプ氏が昨年12月に打ち出した、イスラム教徒の米国への入国を禁止する案に対しても、「イスラム教徒を孤立させたり低く見たりすることは、我々の美徳に対する裏切りであるばかりか、私たちの本質に対する裏切りでもある。国内外での過激主義との戦いにおいて最も重要なパートナーを遠ざけることになるだろう」と反論した。

ラトガース大学の卒業式で現職の米大統領がスピーチするのは今回が初めて。

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