(CNN) 世界最大の旅行サイト「トリップアドバイザー」の2016年ホテルランキングで、インド北西部ジョードプルの宮殿を改装した豪華ホテル、ウメイド・バワン・パレスが第1位に輝いた。ジョードプルでマハラジャ(大王)を務めた一族が所有するこのホテルをCNNが取材した。
英王室は2015年に7億6000万ドルもの観光収入を稼いだが、インドでも王室の肩書が利益を生む。マハラジャの一族は、1970年代にインド政府から廃位させられ、特権を失った後観光業に転じた。
この宮殿は1928年から1943年にかけてマハラジャのウメイド・シンの私邸として建てられた。しかし、国からの収入が途絶えたシン一族は、宮殿をホテルに改装することを決断する。
「当時、王や王室はビジネスにあけくれるべきではないと考えられていた」と語るのは、ウメイド・シン氏の孫ガジュ・シン氏だ。
当初、シン一族はインド政府に宮殿敷地を「格安」で売却することを提案した。だが「結局売却せず、本当に良かった」とガジュ・シン氏は振り返る。
「当時、私が最も心配したのは、宮殿敷地は800年間受け継がれてきた遺産であり、そこから何を生み出せるかということだった」「生き残るためには先を読まなくてはならない。現状維持ではだめだ」
幸い、宮殿にはすでに最高のインフラが整っていたため、高級ホテルへの改装は比較的容易だった。宮殿の敷地は完璧に手入れが行き届いており、あちこちで凝った作りのガーゴイルの彫像が見られる。砂岩造りの建物に到着すると、馬車やマーチングドラム、さらにバラの花びらのシャワーが出迎えてくれる。
現在、同ホテルの運営はインドのタージ・ホテル・グループが行っている。
一方、シン氏は宮殿の象徴的存在として、旧インド王室の熱狂的ファンたちの熱烈なあいさつに応えるという役目がある。同ホテルの隣に住むシン氏は「マネージャーたちにはいつも、これは単なるホテルではなく、宮殿であり、私の家だということを忘れないよう言い聞かせている」と語った。
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