ロシア軍、シリア国内で変わらず存在感 ヘリ・戦闘機が展開

フメイミム空軍基地に駐機するスホイ34

2016.05.12 Thu posted at 19:57 JST

(CNN) 内戦下にあるシリアに軍事介入するロシア軍は12日までに、シリア北部の地中海沿岸のラタキア近くに位置し、「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」などの過激派への空爆の出撃基地としているフメイミム空軍基地の撮影取材をCNNに認めた。

取材は、シリアのアサド政権がISISから今年奪取した、世界的な歴史遺産の古代都市などがあるパルミラへの各国記者団の搬送に伴って許可された。

ロシアのプーチン大統領は約2カ月前、一定の軍事的成果を収めたとしてシリアから主要兵力の引き揚げを命じたが、同基地では爆撃機や戦闘機が定期的に空爆任務に向かう様子が確認された。ロシア軍が昨年末の時点でシリアに送っていた爆撃機は数十機ともされる。

フメイミム基地では爆撃機や戦闘機、戦闘ヘリコプター、輸送用ヘリや航空機、戦車、装甲車両、地対空ミサイルが配備されていた。これら多様な兵器の準備はプーチン氏の言動にもかかわらず、シリアにおけるロシアの軍事的存在感が依然強力であることを見せ付ける形ともなった。

バレーボールに興じるロシア軍兵士

ロシア国防省の報道担当者によると、空爆の標的はシリア北部ラッカやデリゾール県に拠点を築くISISなどの過激派の拠点となっている。

主要兵力の撤退宣言に伴い戦闘機の一部は消えたが、ロシア軍はヘリコプター戦力は強化。攻撃型ヘリ「ミル28」を新たに派遣し、警戒監視飛行に当たらせている。

CNN取材班はフメイミム空軍基地で戦闘爆撃機「スホイ34」を少なくとも6機を確認。爆弾を積みながら飛び立つ様子も目撃した。

シリアでの空爆で中心的役割を果たしている爆撃機「スホイ24」の十数機の存在も目にした。同機は冷戦時代に開発され、1980年代に実戦配備された。シリアに派遣されているのは最新型機種で、標的把握の先端技術を装備しているとされる。

スホイ24

スホイ24は昨年、領空に侵犯したとしてトルコ空軍戦闘機が撃墜、北大西洋条約機構(NATO)とロシアの対立を高める機種ともなっていた。この事件を受けロシア軍がシリアに派遣したのが戦闘機「スホイ35」だった。空中戦能力に優れていると言われ、シリアでは爆撃機数の護衛任務に再三就いている。CNNはフメイミム空軍基地で少なくとも6機のスホイ35を確認した。

2人乗りの戦闘ヘリ「ミル28」はシリアに展開するロシアの空軍戦力に新たに加わったもので、誘導ミサイルや強力な機関砲などの兵器を装備している。同基地の上空を終始飛行している様子が見られたが、シリアに派遣された機数は不明。フメイミム空軍基地を離陸する軍用機が安全高度に達するまで随伴飛行する役目を負っているとみられる。

また、同じ攻撃型ヘリ「ミル24」も配備されている。シリア軍の地上部隊を支援し、敵兵力の破壊に従事しているとされる。同ヘリの実戦配備は1970年代で、旧ソ連のアフガニスタン侵攻などにも動員された。シリアに送られているのは最新型機種とされる。

さらに、今回の取材ではシリアの各地でロシア地上部隊の増強が進んでいる兆候も見てとれた。地上部隊兵士の総数は不明だが、少なくとも数千人規模の可能性もある。パルミラの旧市街近くには新たな陣地が築かれ、近辺の町などに埋設された地雷除去の拠点ともなっていた。数十台の戦闘用車両や装甲兵員輸送車両の他、最新式の対空ミサイルも装備されていた。

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