ブラジル上院、大統領弾劾の是非問う投票へ

ルセフ大統領への弾劾手続きをめぐり、上院での審議が始まった

2016.05.12 Thu posted at 13:39 JST

ブラジリア(CNN) ブラジル上院は11日夕、ルセフ大統領への弾劾(だんがい)手続きをめぐる審議を始めた。

投票は12日朝に行われる予定で、賛成が反対を上回れば弾劾裁判が始まることとなる。大統領は180日間の停職となり、8月に開催されるリオデジャネイロ五輪にも大統領として出席することはできない。

地元紙によれば、上院議員81人中50人が弾劾手続きに賛成票を投じる意向を示しているという。

だがルセフ大統領は10日、辞任はせずに戦う考えを表明。「私はすべての力を振り絞り、ありとあらゆる手段を使って戦うつもりだ。私にとって、任期は(満了となる)2018年12月31日まで続くということをはっきり言っておきたい」と述べた。

ルセフ大統領の支持者は各地で弾劾手続きは「クーデター」だと非難するデモを行った。サンパウロで10日に行われたデモでは、支持者たちがタイヤに火をつけ、道路を封鎖した。

また、カリェイロス上院議長は11日朝、「票は投じない」と発言。議長としては中立の立場を選ぶ必要があるとしつつ、弾劾手続きは「危機の源」で賛成できないとの考えを示した。

リオ五輪開幕を8月に控える中、ブラジルの政局は混迷を深めるばかりだ= Rio 2016

カリェイロス氏は「私は一貫してこの手続きが上院に送られてくるのに反対してきた。この弾劾手続きは歴史に非常に深く根ざしており、簡単に結果が出せるようなものではない」と述べた。

ルセフ大統領の弾劾を求める動きは昨年、当時のクーニャ下院議長が起こした。再選のかかった2014年の大統領選挙を前に、国営銀行から資金を借りて国家財政の赤字を穴埋めし、社会福祉政策を行ったのは違法だというのだ。

ルセフ大統領の停職期間中はテメル副大統領が職務を代行する。180日の間に捜査が行われ、11月に弾劾手続きは上院の特別委員会の手に委ねられる。

大統領には20日間にわたって自己弁護の機会が与えられ、特別委の投票を経て上院本会議への投票が行われる。ここで3分の2が弾劾を支持すれば、ルセフ大統領の失職が決まる。

カルドザ司法長官と、下院のマラニョン暫定議長は弾劾手続きを阻止しようとしたがかなわなかった。

カルドザ司法長官は、権力の乱用によって弾劾手続きを操作したとクーニャ前下院議長を非難し、10日に最高裁に弾劾審議の無効を申し立てた。司法長官は訴状の中で、「彼(クーニャ氏)は恥知らずにも、大統領や大統領の率いる政府、党への報復のために行動した。明らかな復讐だった」と述べた。

最高裁は11日、この申し立てを却下した。

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