(CNN) カナダのアルバータ州で発生した山火事は、懸命の消火活動や天候の変化によって8日までに火の勢いが収まりつつある。大きな被害が出たフォートマクマレーなどからは、これまでに9万人近くが避難した。
アルバータ州のノトリー首相の会見によると、現地時間の8日午前までに焼失した面積は約16万ヘクタール。当初予想していた20万ヘクタールの延焼は免れた。
消防当局も、天候のおかげで今後数日の消火活動はうまくいきそうだとしている。一方、グッデイル公安・非常時対応準備相は、「危機は脱したかもしれないが、安心するのはまだ早い」と気を引き締めた。
1日に発生した火災では、これまでに建物少なくとも1600棟が消失し、約9万人が避難した。遠く離れた米フロリダ州からも煙が見えた。
寒冷前線の影響で8日夜からは降水確率が高くなり、週明けにかけて気温が低下して湿度が高まると予想されている。
フォートマクマレーの住民の多くは北部にある石油関連施設に避難していたが、石油会社が従業員を避難させ始めたことから、住民は避難場所の移動を強いられている。ノトリー首相によれば、避難する際の交通事故で2人が死亡した。今回の火災に関連して死者が出たのは初めて。
消防は、フォートマクマレーの北部にある石油施設への延焼は食い止めたと説明している。周辺に樹木が少なかったことなどが幸いしたという。
火災は隣のサスカチワン州との州境から30~40キロの地点にまで燃え広がり、両州が緊密に連携しながら対応に当たっているという。
ノトリー首相は大きな被害が出たフォートマクマレーを9日に視察する予定。公共サービスの復旧に向けて作業員も現地入りしたが、住民が戻れるまでにはまだかなりの時間がかかる見通し。
カナダ政府は被災した住民に衛生医療サービスなどを提供し、カナダ全土の学校が9日から被災者の子どもを受け入れる。消防は、取り残された犬や猫などのペットがいないかどうかの確認も行っている。
フォートマクマレー地域の消火活動には消防士500人とヘリコプター15機、エアタンカー14台が出動。エドモントンなどの各地からも応援が駆けつけ、アルバータ州全体では消防士約1500人が活動している。出火原因はまだ捜査中。
避難命令が出されたフォートマクマレーのほかに、フォートマッケイにも避難勧告が出て60人が避難、約450人が残っているという。
避難した住民の多くは州都エドモントンやカルガリーで受け入れる見通しで、当局が被災者のための住宅の確保を急いでいる。
グッデイル公安・非常時対応準備相は、復旧までには長い時間がかかるとの見通しを示し、ほかにもカナダの各地で発生している小規模な火災が、天候によっては燃え広がる恐れもあると指摘。「これは長く暑い夏の始まりになるかもしれない」と語った。