難民に帰国迫る「道路標識」で論議 デンマーク

デンマークにたどりついた移民の人々

2016.04.28 Thu posted at 18:30 JST

(CNN) 難民や移民の受け入れの是非を巡る国内論議が続く北欧デンマークの小さな都市で難民らに母国への帰国を迫る「道路標識」が出現し、論議を招いている。問題の標識は、「シリアまで4426キロ」「イラクまで5317キロ」などの内容となっている。

この都市は同国の首都コペンハーゲンから北西へ約354キロ離れたティステズ。問題の標識は既存の標識の下に添えられていた。反移民の感情が国内に高まっていることに乗じた行動とみられる。

標識はその後、取り外されていた。

この標識に対しては屈辱的と否定する意見もあるが、移民排斥を訴えるデンマーク国民党は支持を表明。カールセン同党党首はツイッターで、党は今回の標識に関与していないもののその内容は100%支持すると強調した。標識を掲げた人物の心当たりはないが、同党党員の可能性もあるとした。

また、デンマークへの移民を止めたいと改めて主張。標識は除去されたが、難民らの問題を実質的な議論に導く初めての機会を生みだしてくれたと評価した。

ティステズの近くには亡命希望者らを収容する複数の施設がある。

欧州が難民や移民らの大規模流入への対応を早急に迫られる中で、デンマークも難民申請者らの増加に直面している。これに伴う国内の論議も退潮する気配がなく、移民らを危険視する見方や社会に受け入れるコストの問題、国民の独自性の在り方などが取り上げられている。

この中で同国国会は今年1月、難民申請を審査する間、該当者の滞在経費を賄う目的で所持金や財産の一部を国が押収できる法案を可決。また、難民が家族を呼び寄せる申請が出来るようになるまでの期間も従来の1年から3年に延長した。

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