米軍、ISIS空爆で民間人に事前警告 イスラエルに倣い

モスルにあるISISの金融拠点の空爆では民間人に事前警告をする戦術を採用

2016.04.27 Wed posted at 10:39 JST

ワシントン(CNN) 米国防総省は26日、イラクなどで行っている過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」に対する空爆で、建物の中にいる民間人が避難できるよう、事前に警告する戦術を採用していることを明らかにした。

事前警告は「ノック作戦」と呼ばれ、イスラエル軍がパレスチナのガザ地区を空爆した際に、民間人に避難を促す目的で採用していた。

ISIS撲滅作戦を担う米空軍の副司令官、ピーター・ガーステン少将が26日の記者会見で語ったところでは、イラク南部のモスルで今月5日にISISの金融拠点を空爆した際は、事前に偵察を行って、ISISの会計担当幹部の男の自宅監視を続けていたという。

偵察では男のほかに、女性1人と子ども数人が自宅を出入りしている様子を確認した。そこでこの女性と子どもを脱出させるため、その建物の屋上に空対地ミサイル「ヘルファイア」を発射し空中で爆破。その後、作戦を続行したという。

米軍は当初、この「屋上ノック」が奏功して建物の中にいた女性を救うことができたと判断した。

ISISはシリアやイラクの支配地域が縮小し資金繰りも悪化

ガーステン氏によれば、女性は我先にと避難しようとする数人の男たちに踏みつけられながらも自力で脱出し、米軍はそれを確認したうえで空爆に踏み切った。ところがその後、女性が建物の中に戻ってしまったという。

その直後に建物は崩壊。「見ていた我々は非常につらかった」とガーステン氏は振り返る。一部始終を記録したビデオも存在するが、民間人が殺害される映像を国防総省が公開することはまずないだろうと当局者は話している。

会計担当の男がその後姿を現した形跡はなく、この男も死亡したと当局者は見ている。

ガーステン氏は会見の中で、金融拠点に対する一連の空爆でISISは現金が不足し、戦闘員の士気も低下していると強調した。シリアやイラクへ入る外国人戦闘員は、1年前は月間1500人を超えていたが、現在では月間200人程度にとどまっているという。

米軍はシリアでのISIS空爆を強化するため、トルコ南部に長距離砲を配備したことも明らかにした。

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