(CNN) 女性は緑豊かな環境で暮らした方が長生きでき、慢性疾患のリスクも低下する――。米ハーバード大学公衆衛生校などの研究チームが全米の女性を対象に実施した調査でそんな傾向が判明した。
研究チームは慢性疾患のリスク要因調査に参加した全米の女性10万8000人を対象に、2000年から08年にかけ、自宅周辺の緑の多さと死亡リスクとの関係を調べた。
その結果、最も緑の多い環境に暮らす女性は、最も緑が少ない環境に暮らす女性に比べて死亡率が12%低いことが分かった。緑の量は衛星写真を使って判断した。
男性の場合も調べれば同じような結果が出ると研究チームは推定する。
死亡原因となる疾患との関係を調べた調査では、自宅周辺に緑が多い女性はそうでない女性に比べ、腎疾患による死亡率が41%、呼吸器疾患による死亡率は34%、がんによる死亡率は13%、それぞれ低いことも分かった。
死亡率低下の要因としては、緑に囲まれて暮らすことによる精神衛生状態の改善のほか、社会とのかかわりの多さ、大気汚染の少なさなどを挙げている。
緑の多さと死亡率との因果関係を数年にわたって調べた全米調査は今回が初めて。
今回の調査対象者の84%は都市圏在住だった。長生きするため田舎に引っ越したり公園の近くに住んだりしなくても、身の回りに植物を増やすだけで死亡リスクの低下につながると研究チームは指摘し、今回の研究結果を都市計画などに役立ててほしいと話している。