(CNN) 燃料を一切使わない世界一周飛行に挑んでいる太陽光発電の実験機「ソーラー・インパルス2」がこのほど、米カリフォルニア州マウンテンビューに着陸し、太平洋横断飛行を成功させた。
操縦士はスイス人探検家で精神科医のベルトラン・ピカールさん。着陸後、CNNの取材に答え、「新しい時代が来た。これはSFではない。クリーン技術は不可能を可能にできる」と語った。
同機は21日にハワイを発ち、サンフランシスコ湾上空を数時間飛行した後に着陸した。
ソーラー・インパルス2の翼長はボーイング747型機と同程度。しかし重さはスポーツ用多目的車(SUV)ほどしかない。飛行速度も自動車とほぼ同じで、ハワイからカリフォルニア州までの飛行に要した時間は約62時間だった。
世界1周を目指す同機の飛行は今回が9回目だった。操縦はピカールさんと、スイス人技術者のアンドレ・ボルシュベルクさんが交代で担当している。
ソーラー・インパルス2は昨年3月、アブダビから世界1周の旅に出発し、同年夏の終わりにはアブダビに戻るはずだった。しかし悪天候に見舞われて日本に緊急着陸した際に滑走路で機体が損傷。修理を済ませた後に太平洋を横断して7月にハワイに到着した。
ハワイに着陸した時点でバッテリーが過熱して損傷していたことが分かり、修理に時間がかかってカリフォルニア州への出発は10カ月近くずれ込んでいた。
今後は大西洋を横断して欧州か北アフリカへ向かい、この夏の終わりには3万5000キロの飛行を終えて中東へ戻る計画。