小惑星衝突前からすでに「衰退」、恐竜絶滅で新説

恐竜の絶滅に関して、新しい説が発表された

2016.04.19 Tue posted at 19:17 JST

(CNN) 恐竜は絶滅のきっかけになったとされる小惑星の衝突より少なくとも5000万年前から、すでに衰退が始まっていた――。英レディング大学の古生物学者らがこのほど新たな説を発表した。

同大学のマナブ・サカモト博士らが18日発行の科学誌、米科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した論文によると、恐竜は小惑星が地球に衝突した時点で、すでに「進化論的な意味で最盛期を過ぎていたこと」が明らかになった。

衝突が起きる数百万年前から恐竜の多様性が低下し、種類を問わず衰退傾向にあったとみられる。

研究チームは化石から得られる情報やコンピューターによる統計に基づいて恐竜の系統図を分析し、この結果を導き出した。

共同執筆者、英ブリストル大学のマイク・ベンソン教授は報道発表の中で「あらゆる証拠から、恐竜が種を分化させるスピードは落ちていたことがうかがえる」と指摘。結果として、小惑星衝突による環境の激変から立ち直れなくなっていた可能性が高いという。

恐竜は約1億5000万年の間、地球の生態系を支配していたとされる。小惑星は約6600万年前にメキシコ湾に衝突し、大量の粉じんが太陽の光をさえぎったため、地球上の植物や恐竜が絶滅したと考えられる。ただ恐竜がその時点まで繁栄していたかどうかはなぞとされてきた。

サカモト博士は「突然の衝突がとどめを刺した可能性はあるものの、恐竜はそれ以前から何らかの理由で、古い種が絶えるのと交代に新たな種を進化させることができなくなっていた」「最終的に絶滅するより何千万年も前から、支配的な勢いを失い始めていたのではないか」との見方を示す。

研究者らによると、地球上の大陸が分裂し、海面が上昇し、火山活動が活発化するといった変化のために、恐竜は生息地が分断されて繁殖の機会を得にくくなっていたとも考えられる。一方でこうした変化が結果的には哺乳類の、そして人間の全盛時代へとつながっていった。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。