ナイジェリア・マイドゥグリ(CNN) ナイジェリア北東部の村チボックにある女子校の寮から生徒が集団で拉致された事件から今月14日で2年が過ぎた。ナイジェリア政府は過激派集団「ボコ・ハラム」との間で少女たちの解放に向けた交渉を続けており、その過程で「生存証明」として提供されたビデオが存在することが判明。これを見た母親は、画面に映った少女たちの中に娘がいることを確認し、涙を流した。
この事件では2014年4月14日、女子生徒276人が学校の寮から連れ去られた。うち数十人は脱出に成功したが、残る数百人の消息は途絶えたままだった。
今回のビデオは交渉団や政府関係者の一部に公開された一方で、家族にはこれまで見せられていなかった。
CNNでは娘を拉致された3人の母親に、チボックから約125キロ離れた都市マイドゥグリに来てもらい、ホテルの中庭でビデオを見てもらった。
3人の目は画面にくぎ付けになり、互いに抱き合って涙を流した。17歳になった娘サラテュさんの姿を見付けた母親は、娘の名を呼び、コンピューターの画面に手を伸ばした。
画面には15人の少女が長いローブとスカーフで頭部と全身を覆った姿で映り、サラテュさんはじっとカメラに視線を向けていた。母親は「できることなら娘をこの画面から取り出したい」とつぶやいた。
ビデオは昨年12月、政府とボコ・ハラムの交渉の過程で撮影されたものと思われる。娘が生きていることを親に知らせ、政府の対応を促したいと考えた人物が公表した。
少女は1人ひとりが大写しになり、男の声で「名前は? 学校名は? 連れ去られた場所は?」と問われると、冷静な様子で名前やチボックの公立高校から連れ去られたことなどを説明している。感情はほとんど表に表さなかった。
最後の1人、ナオミ・ザカリアさんは、読み上げさせられたと思われる言葉でナイジェリア政府に対して少女と家族の再会のため協力するよう促し、「私は2015年12月25日、チボックの少女たち全員を代表して話しています。私たちは全員元気です」と語った。
ナオミさんが語った12月25日という日付は、ビデオに記録された日付と一致する。ただ、その信憑性(しんぴょうせい)や、故意にクリスマスの日が選ばれたのかどうかは分からない。少女たちのほとんどはキリスト教徒だったが、強制的にイスラム教徒に改宗させられたと見られている。
ナイジェリア政府もこのビデオを持ってことを確認し、少女たちの解放に向けてビデオを提供した相手と交渉中だと説明した。ただし内容の信憑性は確認できていないとした。
同国情報相は、事件から2年が経過したにもかかわらず、少女たちの姿はあまり変わっていないように見えると話している。