英イスラム教徒、「過半数が同性愛に反対」 世論調査で物議

英国内のイスラム教徒に関する調査の結果が物議を醸している

2016.04.13 Wed posted at 12:25 JST

ロンドン(CNN) 英国内のイスラム教徒のうち過半数は同性愛を合法化すべきではないと主張し、4%がテロを「政治的な抗議行動」のひとつとして支持している――。新たに発表されたこんな調査結果が物議を醸している。英国内のイスラム社会を代表する有力団体からは調査方法などについて批判が出ている。

調査は英公共テレビ「チャンネル4」が13日に放送するイスラム教徒についての番組向けに、世論調査会社ICMが昨年、対面方式で実施した。対象となったのは国内イスラム教徒の成人1081人。

その結果、多くの質問で一般市民を対象とした世論調査と同様の回答が得られたものの、男女平等や性的指向、反ユダヤ思想、政治や宗教をめぐる暴力などの問題では独特の結果が出た。

例えば同性愛については、合法とすべきではないとの答えが52%、同性愛者が教職に就くべきではないと考える人が47%を占めた。一般の世論調査で同じように答えた人はそれぞれ11%と14%にとどまっている。

テロを政治行動として認める意見は4%とごく少数ながら、一般の1%を上回った。過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」が掲げるイスラム国家樹立の目的を手段にかかわらず支持すると答えた人は、イスラム教徒で7%、一般市民で2%だった。

英国社会でユダヤ教徒の持つ力が大きすぎると感じている人はイスラム教徒のうち35%、一般市民では9%。イスラム教徒の男性が2人以上の妻を持つことを認める意見はイスラム教徒で39%を占め、一般では9%にとどまった。

女性は常に夫に従うべきだとの答えもイスラム教徒で39%と、一般市民の5%を大幅に上回った。

現時点で最新の統計となる2011年の国勢調査によると、イングランドとウェールズのイスラム教人口は約271万人。全人口の4.8%と、トップのキリスト教徒(59.3%)に次いで2番目の割合を占める。

チャンネル4の番組で司会を務めるトレバー・フィリップ氏は英紙サンデー・タイムズの記事で、イスラム教徒と非イスラム教徒の間で根本的な問題をめぐる溝が深まっているとの見方を示した。

フィリップ氏はまた、若者たち同士の意見にも中高年層とほぼ同様の開きがみられると指摘。「溝は今後も当分なくならないだろう」と書いている。

一方、英国内のイスラム社会を代表する有力団体「英国ムスリム評議会(MCB)」はこの調査結果について、「学術的な厳密さ」に欠けるとする声明を発表。調査手法などに問題があると主張し、「このような発表は全ての層の態度を硬化させるばかりだ」と批判した。

MCBは調査が実施された場所について、イスラム人口が2割以上を占める比較的イスラム教徒の割合が高い地域に偏っていたと指摘。こうした地域は貧困層が多くて宗教的により保守的なため調査結果がゆがめられる可能性があるという。

これに対してICMは、英国のイスラム教徒の半数以上がこのような地域に住んでいると反論し、調査結果は妥当だと主張した。

今回の調査では、イスラム教徒は一般の人々よりも英国に対する帰属意識がわずかながら高いといったことも分かっている。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。