トランプ氏の日韓核武装論、「ばかげている」 米国務長官

原爆死没者慰霊碑に献花するケリー長官(中央)ら

2016.04.12 Tue posted at 17:57 JST

広島(CNN) 主要7カ国(G7)外相会合の開催地となった広島で11日、平和記念公園を訪れたケリー米国務長官は、米大統領選で共和党の候補者指名を目指す実業家のドナルド・トランプ氏が唱えた「日韓核武装論」を強く非難した。

ケリー氏は記者会見でトランプ氏を名指しこそしなかったものの、「高位の公職に就こうとする候補者が、核兵器をもっと作って韓国や日本などの国に保有させるべきだと示唆するような発言は、見るからにばかげている。歴代大統領が共和党か民主党かを問わず、戦後ずっと目指してきたあらゆる目標に逆行する発言だ」と述べた。

ケリー氏はこの日、欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表やG7各国の外相とともに平和記念公園の広島平和記念資料館(原爆資料館)を訪問。「胸をえぐられるような展示だ。人間としてのあらゆる感情をわしづかみにされる」と感想を述べ、「戦争が人々や社会、国家、世界に何をもたらすかを思い知らされる。私個人としても一生忘れられない内容だった」と語った。

記念公園では厳戒態勢の下、各国外相らがそろって原爆死没者慰霊碑に献花し、原爆ドームまで歩いた。

ケリー氏は資料館の芳名録にも「世界中の全ての人がこの慰霊施設の力を感じるべきだ。我々は核兵器の脅威を終わらせるだけでなく、戦争自体の回避に向けて改めて尽力しなければならないことを、まざまざと思い知らされる」と記した。

ただしケリー氏に同行した国務省高官は、同氏が米国の核兵器使用について謝罪することはないと事前に明言していた。

ケリー氏は記念公園への訪問に先立ち、岸田文雄外相と会談。「私の広島訪問には、日米関係の強さと戦後をともに歩んできた道のりを示す特別な意味がある」と語ったうえで、「今回の訪問は過去ではなく、現在と将来がテーマだ」と強調した。

岸田外相もこの日、トランプ氏の日韓核武装論に言及し、「我々が核兵器を保有することは全く考えられない」と改めて断言した。

ケリー氏の訪問に続いて、オバマ米大統領が来月、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で来日する際に広島を訪れる可能性も指摘され、大統領が原爆投下への謝罪を表明するのではないかとの憶測も飛び交っている。国務省高官はこれについて、ホワイトハウスはまだ正式な決定に至っていないと述べた。

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