「トランプ難民」に朗報? カナダ移住を成功させる4つの方法

親や子どもにカナダ人がいない場合、移住を果たすのは容易ではない

2016.04.30 Sat posted at 19:59 JST

ニューヨーク(CNNMoney) 米国では、激しい選挙戦のさなかに多くの国民がカナダへの移住を誓ってきた歴史があるが、共和党候補指名争いでトップを走る不動産王ドナルド・トランプ氏のおかげで、今、その現象が最高潮に達している。

グーグルのデータエディター、サイモン・ロジャーズ氏によると、米国では3月2日のスーパーチューズデーでトランプ氏が圧勝した後、「how can I move to Canada(カナダに移住する方法)」というフレーズの検索数が350%も増加したという。

そして、その傾向はさらに勢いを増している。「how to move from the U.S. to Canada(米国からカナダへの移住方法)」や同様のフレーズの検索数は3月中に急増しており、3月17日までのデータによると、2月から455%も増えている。

ジョージ・W・ブッシュ大統領の2期目が始まった2005年にも同様のカナダ移住ブームが巻き起こったが、実際に多くのアメリカ人がカナダに移住したことを示す証拠はほとんどない。

少なくともその一因として、カナダへの移住が容易ではないことが挙げられるだろう。

カナダ人になるためには、自分の親や子どもがカナダの市民権を保有していない場合、時間や費用のほかに膨大な書類の作成が必要だ。弁護士に助けを求めることもできるが、移民弁護士のブルース・アレン氏によると、弁護士費用は4000~6000ドル(約43万~65万円)に上るという。

トランプ氏の快進撃でカナダへの移住に関心を示す米国人が急増しているという

それでもカナダへの移住は決して不可能ではない。カナダは2016年に新たに30万5000人の移民の受け入れを計画している。そこで今回は、カナダへの移住を実現する方法を4つご紹介する。

1.ジョブオファーと就労ビザを取得する

費用:191ドル(さらに家族1人あたり116ドルの追加費用)

所要期間:約3カ月

2015年の実績:約20万人

無料の健康保険:あり(別途、カナダの社会保険番号の申請が必要)

選挙権:なし

カナダに移住するには、ジョブオファー(採用通知)を得るのが一番の早道だ。

北米自由貿易協定(NAFTA)のリストに記載されている職種であれば、カナダの国境で即座に就労ビザを取得できる。

NAFTAのリストに記載されている職種としては、会計士、コンピューターシステム・アナリスト、エンジニアなどが挙げられる。アレン氏によると、プロの養蜂家もこのリストに入っているという。

カナダ移民局によると、NAFTAのリストに入っていない職種の場合、まず同局が、カナダ人がその仕事を行えるかなど、複数の要因を評価した後、約3カ月以内に申請を処理するという。

しかし、カナダの失業率が3年ぶりの高水準に達していることを考えると、高額な費用や煩雑な事務処理を引き受けてでも外国人を採用しようという意欲のある雇用主を探すのは容易ではない。

カナダ南東部の都市、トロントの高層ビル群

2.スキルがあるなら永住権を勝ち取れ

費用:761ドル(さらに子ども1人あたり112ドル、配偶者同伴の場合412ドルの追加費用)

所要期間:6カ月以上

2015年の実績:2万3669人に申請の招待

無料の健康保険:あり

選挙権:なし

ジョブオファーがなくても大丈夫。エクスプレスエントリーと呼ばれる新しい移民プログラムでは、他の人と競って勝ち残れば、永住権が取得できる。

このプログラムでは、申請を先着順で受け付けるのではなく、熟練労働者からの申請を募り、教育水準、収入、実務経験などを基準に申請者をランク付けする。そして、その中で最も優れた候補者が永住権申請の招待を受ける。

移民弁護士で、カナダ移住情報サイト「immigration.ca」のマネジングパートナーを務めるコリン・シンガー氏によると、理想的な人物は「20代で、カナダの公用語(英語とフランス語)が堪能で、さらに高学歴で修士号を取得しているのが望ましい」という。

しかし、酒気帯び運転(DWI)や飲酒や麻薬などの影響下の運転(DUI)などの犯罪歴があると永住権取得は極めて厳しくなる。

アルバータ州のカナディアンロッキー

3.自分の技能を必要とする州を探す

費用:750ドル(配偶者や子どもがいる場合、追加費用あり)

所要期間:6カ月以上

2015年の実績:12万人

無料の健康保険:あり

選挙権:なし

カナダの10州と3つの準州には、外国人が雇用者の推薦で永住権を取得できる独自のプログラムがある。

「もしあなたの技能を必要とする州があれば、それが(永住権取得の)最良の選択肢だ」(シンガー氏) 例えば、ケベック州では医療専門家や看護婦が極端に不足しており、現在、その分野で5000人の申請者を募っている。

4.自営業者、起業家、大富豪の場合

費用:786ドル(子ども1人あたり112ドル、配偶者同伴の場合412ドルの追加費用)

所要期間:7~8年

2015年の実績:6453人

無料の健康保険:あり

選挙権:なし

米国とカナダへの報復を狙う第3国が関与しているとの見方も

自営業者、起業家、大富豪は、カナダの「Economic Immigration(経済移民)」プログラムを利用した永住権の申請が可能だ。一般にスポーツ選手、芸術家、俳優、農場経営者はいわゆる「自営業者」プログラムを利用する。

起業家がスタートアップビザを取得するには、申請前に移民局指定の14の民間投資組織の1つに自分の事業アイデアを支援してもらう必要がある。

また40万ドル以上の資産がある場合は多くの選択肢がある、とシンガー氏は語る。 さらに合法的な営利事業や投資活動で少なくとも740万ドルの資産を築いた投資家は、投資家ビザの申請が可能だ。

結論

カナダへの移住は容易ではないが、カナダが移民に強く依存している国であることは間違いない、と弁護士のブルース・アレン氏は語る。アレン氏によると、カナダでは移民は賛否の分かれる問題ではないという。

「(カナダでは)誰もが移民に賛成だ」(アレン氏)

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