ウガンダ・キデポ国立公園(CNN) ウガンダが「アフリカの真珠」と呼ばれるのにはわけがある。素晴らしい景色と野生生物が魅力のウガンダは、ここ数年、世界で最も人気の高い旅行先の1つだ。
しかし、この国の至宝のなかには、まだ隠されたままのものがある。
ウガンダ北部の起伏の多い丘や谷の中にあるキデポ国立公園は、全く人目につかない場所にあるため、美しい場所でありながら、ほとんど注目されることなく今日に至っている。
キデポ国立公園は、イク族と呼ばれるアフリカで最も小さな民族の居住地でもある。現地の伝説によると、イク族は数百年前にエチオピアからやってきたが、アフリカ東部のほぼ全域に足跡を残しているという。
古代の神々に祈りを捧げるイク族は、いつかキデポ渓谷を離れなければならないと信じているが、敵対部族が理解できない独自の文化や言語を守るために日々戦っている。
言語学者テリル・シュロック氏は、イク族の言語の秘密を明らかにするためにイク族と3世代に渡って協力している。シュロック氏によれば、イク族とエジプト南部の文化を結びつける証拠が見つかったという。
シュロック氏は「部族語は博物館のようなものだ。部族語は、歴史的情報や文化的情報、生態学的情報の宝庫だ。部族語が消滅するということは、図書館が全焼するに等しい。決して取り戻せない過去への窓が閉ざされてしまう」と語る。
キデポ国立公園の中心部ともいえるナルの湿地帯では、1980年代と90年代の部族間闘争により、野生生物の数が激減した。しかし、今この地域は再び動物が増え始め、活気を取り戻しつつある。
約1400平方キロの広さを誇るこの国立公園には、緑豊かな山脈から広大な平原まで、さまざまな景色が見られ、約500種の鳥と77種の哺乳動物が生息する。サバンナ(草原)を散策すると、ダチョウやハーテビースト、キリンなど、さまざまな野生動物に遭遇する。
同国立公園のワーデン・ジョンソン・マセレカ園長は「これがこの公園ならではの特徴だ。1つの公園で一度にこれだけの数の動物は見られないだろう。これこそがウガンダの最も素晴らしい点だと思う」と語る。
公園内には、古火山の熱で沸騰している「水たまり」がいくつかある。これらはカナンゴロク温泉で、ウガンダと南スーダンとの国境線から歩いてわずかの距離にある。
そのはるか南、キデポ渓谷は渓谷の中を流れる川によって劇的に形作られている。大雨が降ると、その川が氾濫(はんらん)し、あふれた水が同公園を通過して南スーダンへ流れ込む。しかし数時間後に水は引き、後には「砂の川」が残る。その砂の川は、場所によって幅が約50メートルにも達する。
「その砂の下にはまだ水が残っており、ヒヒやゾウなどの動物がこの水を求めて砂を掘る」と語るのは、同国立公園でガイドを務めるフィリップ・アコロンギモエさんだ。「ここには水が豊富にある。キデポ渓谷により多くの動物が生息しているのはそのためだ」