資源採掘で人為的な地震急増、790万人にリスク 米

水圧破砕法による採掘で人為的な地震が増加しているという

2016.03.30 Wed posted at 14:38 JST

ニューヨーク(CNNMoney) 米地質調査所がこのほど公表した2016年版の地震予測地図で、テキサス州やオクラホマ州などの一部では石油や天然ガスの採掘に伴う人為的な地震が発生する恐れがあり、約790万人が危険にさらされていると指摘した。人為的に誘発される地震のリスク分布地図を地質調査所が作成したのは初めて。

それによると、人為的な地震発生の恐れがあるのはテキサスやオクラホマのほか、カンザス、コロラド、ニューメキシコ、アーカンソーの各州。建物や橋、パイプラインなどのインフラに被害が出る可能性もあるとした。

こうした地域で地震の可能性が高まった一因は「流体流入や抽出などの人為活動」にあると分析している。

流体流入は、水圧破砕と呼ばれる掘削技術を使って原油やガスを地下からくみ出す際に、流出した海水を排水処分用の井戸へ高圧で注入する工法。

米地質調査所が2016年版の地震予測地図を公表した

水質汚染や地震の危険が指摘されているにもかかわらず、水圧破砕を使った掘削は激増を続け、米国内の破砕井戸は2000年の2万3000カ所から昨年には30万カ所に増加した。

同時に米中部や東部では、過去30年の間比較的安定していた地盤で2010年以来、地震が目に見えて増加した。

破砕井戸の周辺では地震による被害も発生。2011年にはオクラホマ州プラーグ付近で起きたマグニチュード(M)5.6の地震で数人が軽傷を負い、住宅数棟が損壊した。コロラド州トリニダッド付近でも11年にM5.3、テキサス州トンプソン付近では12年にM4.8の揺れを観測している。

報告書によると、オクラホマ市と周辺地域では2016年に5%~12%の確率で地震の被害が出る可能性がある。この確率は、自然災害の地震で同程度のリスクがあるカリフォルニア州の一部地域を除き、米本土のどこよりも高い。

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