ニューヨーク(CNNMoney) 米連邦捜査局(FBI)が米アップルに対し、テロ事件の容疑者が使っていたiPhone(アイフォーン)のロック解除を求めていた問題で、米司法省は28日、FBIが第三者の協力でデータの取り出しに成功したと発表した。
司法省の報道官は声明で「アップルの協力は必要なくなった」と述べ、裁判所を通したロック解除の要求を取り下げると表明した。当局者らは、取り出したデータの詳細には言及しなかった。
FBIは、昨年12月にカリフォルニア州サンバーナディノで起き、14人の死者を出した銃乱射テロ事件の容疑者2人のうち、サイード・ファルーク容疑者が使っていたiPhoneから手掛かりを得るため、アップルの協力を求めていた。
一方アップル側は、要求に従って「裏口」を作ればiPhoneユーザー全体の安全が損なわれ、サイバーセキュリティー上の危険につながるとの主張から、協力を拒否していた。
双方は先週出廷する予定だったが、司法省側は「iPhoneへ入り込む代替手法が外部からFBIに提示された」として、直前に延期を申請。判事がこれを認めていた。
当局がアップルの協力なしでデータを取り出したとなると、同社の暗号化技術に疑問が投げ掛けられることになる。
司法省は28日、代替手法は当該機種のiPhoneにしか使えないと強調した。ファルーク容疑者が持っていたのはiPhone5cで、基本ソフトはiOS9だった。
匿名を条件に記者団と話した捜査当局者も、ロック解除が成功した経緯や、FBIに協力した第三者の正体などは明かさなかった。同当局者はまた、FBIが将来、この手法をアップルに開示する可能性についても明言を避けた。