キューバ・ハバナ(CNN) キューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長(89)が、オバマ米大統領の歴史的なキューバ訪問を痛烈に批判するコラムを共産党機関紙「グランマ」に寄稿したことが29日までに分かった。
コラムは「ブラザー・オバマ」と題し、「帝国から何も与えられる必要はない」と強調。辛辣(しんらつ)な文言を使った長文で米国批判を展開している。
フィデル氏は2008年に腸の疾患のため健康状態が悪化し、弟のラウル・カストロ氏に議長職を譲った。しかしその後も絶大な影響力を振るい続け、キューバの政治制度についてのコラムを寄稿したり、公の場に姿を現したりしている。
オバマ大統領は今月、米国の大統領として88年ぶりにキューバを訪問し、ラウル氏と会談して共同記者会見や晩餐会に出席したほか、米国対キューバの野球の試合にも参加した。ただ、フィデル氏との会談は実現しなかった。
キューバ国営テレビで放送された演説の中でオバマ大統領は、長年にわたる敵対関係を乗り越えて「共に未来に目を向ける時が来た」と語りかけ、「簡単ではないだろうし、後退することもあり、時間はかかるだろう。しかし私は今回のキューバ訪問で、キューバの人たちの未来に対する希望と確信を新たにした。私たちは友人として、隣人として、そして家族として、この旅を共にできる」と力説していた。
フィデル氏は演説のこの部分について「心臓発作を起こさせるところだった」と反発、米国がキューバに残した不当行為とする事項を列挙している。