世界最大級の航空機「エアランダー10」 本格運用へ飛翔

お披露目されたエアランダー10

2016.03.24 Thu posted at 14:26 JST

(CNN) 世界最大級の航空機とされる「エアランダー10」の組み立てが完了し、英ロンドン北部の格納庫でこのほど披露された。地上で入念な点検を行った後、200時間の試験飛行を経て、本格運用が開始される。

エアランダー10は飛行船とヘリコプターと飛行機を組み合わせた航空機で、全長は92メートル。胴体は炭素繊維製で、3万8000立方メートルのヘリウムガスで浮上する。

325馬力のV8ディーゼルエンジンを4基搭載し、時速148キロまでの加速や垂直離陸も可能。積載容量は10トンあり、機体下部に格納できる空気式の着陸装置を使って陸地や砂地、水面や氷の上にも着陸できる。

ジェット機に比べると消費燃料は大幅に少なく、騒音も小さい。高度は最高6100メートルまで到達でき、5日間の継続飛行が可能。偵察や積み荷の投下、遊覧飛行などの用途に適しているという。

高度は補助用エアバッグを膨らませたり、速度を変えることによって調整する。推力がなくなると徐々に降下して着陸する。

同機はもともと米軍のプロジェクトとして建造され、前回2012年の飛行時は機密扱いだった。

その形状から「空飛ぶおしり」と呼ぶ人も

その後は防衛費の削減に伴って運航が停止されていたが、今回、クラウドソーシングの資金調達で復活。軍用に使う目的で英政府も出資した。

プロジェクト責任者のニック・オールマン氏は同機について、航空業界を一変させる可能性を秘めていると説明、「コストは安くなり、環境に優しくなり、今は行けない場所にも行き来できるようになる」と期待を語る。

同機の操縦は2012年以来になるというテスト操縦士のデービッド・バーンズ氏は、「フライトデッキには大きな窓があり、比較的低い高度を飛行するという同機の性質上、素晴らしい眺めが広がる」と話す。

飛行船は1930年代に相次いだ爆発や墜落事故で大勢の死者を出した過去もある。しかしそうした事故を教訓に、可燃性の水素に代わって不活性ガスのヘリウムが使われるようになり、爆発や発火の危険はなくなったという。

エアランダー10が成功すれば、次は積載容量を5倍に高めたさらに大きな後継機「エアランダー50」の構想も進んでいる。

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