大統領選5候補とインタビュー トランプ氏はNATO見直しを主張

ドナルド・トランプ氏

2016.03.22 Tue posted at 21:23 JST

ワシントン(CNN) 米大統領選に向けた民主、共和両党の指名を争う計5人の候補が21日、アリゾナ州予備選などを翌日に控えてCNNとのインタビューに臨んだ。

共和党のトップを走る実業家ドナルド・トランプ氏はこの日、首都ワシントンで共和党幹部らや米紙ワシントンポストの編集委員と会談し、イスラエル系ロビー団体の米イスラエル公共問題委員会(AIPAC)で演説するなど精力的に動き回った。

CNNとのインタビューでは、北大西洋条約機構(NATO)への関与を見直すべきだとの主張を展開。同盟国を守るために米国ばかりが多額の費用を負担していると主張し、「NATOの構想が生まれた当時の世界とは違う」と述べた。

ロシアとの対立が続くウクライナについても、米国が同国の「面倒を見ている」のに対し、欧州諸国は十分な援助を提供していないと力説した。

インタビューの後半では、米国が縮小するべきなのはNATOでの役割ではなく拠出する費用だと説明したものの、「見直し」発言は欧州で波紋を呼びそうだ。

トランプ氏はパレスチナ情勢をめぐり、イスラエル支持を掲げておきながら「中立の立場」を表明して批判を招いている。民主党のヒラリー・クリントン前国務長官は21日、AIPACでの演説で「しっかりとした手が必要だ。月曜に中立を主張し、火曜に親イスラエルを唱え、水曜には何を言うかわからないような大統領では困る」と、トランプ氏を暗に批判した。

ヒラリー・クリントン氏

これに対しトランプ氏はインタビューで、クリントン氏には大統領としての強さが足りないと反撃。「私の手を見てごらん。彼女の手よりずっとしっかりしている」と主張した。

また自身が大統領に就任したら、現在テルアビブに置いている在イスラエル大使館を、イスラエルが首都と定めるエルサレムへ移転すると表明した。

オバマ大統領が訪問しているキューバとの関係については、国交正常化の路線を引き継ぐ姿勢を示す一方、「今よりはるかにうまく取引ができる」と主張し、自身が経営する高級ホテルを首都ハバナにオープンさせたい意向を示した。

共和党内にトランプ氏の指名を阻止しようとする動きがあることに対しては、これまでの予備選、党員集会で「ほかの候補を数百万票も上回る支持を得ている」と強調した。

インタビューには続いてクリントン氏が登場し、トランプ氏の人格や言動を厳しく批判。大統領が兼任する軍最高司令官に、トランプ氏は不適格だと主張した。

民主党の対抗馬、バーニー・サンダース上院議員との争いについては、「本選挙ではサンダース氏の方が強い」との世論調査結果を「信用できない」と切り捨てた。そのうえで、自分は選挙戦よりも実際の職務の方が得意だとも主張した。

対イスラエル政策では、米大使館のエルサレム移転はイスラエル・パレスチナの2国家共存による解決策の一環でない限り、争いをあおる結果になると警告した。

テッド・クルーズ氏

共和党の指名争いでトランプ氏を追うキューバ系のテッド・クルーズ上院議員はインタビューで、オバマ大統領のキューバ訪問を批判。オバマ政権の対キューバ融和政策は対イラン政策と同様、「米国の敵対国に何十億ドルも渡す」行為に等しいとの見方を示した。

クルーズ氏はまた、トランプ氏は世界情勢についての知識が全くないと指摘し、NATOが崩壊すればロシアのプーチン大統領の長年の狙い通りになると警告した。トランプ氏が共和党の指名を獲得した場合、副大統領候補になる気は「全くない」と断言した。

クリントン氏を追う民主党のサンダース氏は、ユタ州ソルトレークシティーからの衛星中継でインタビューに臨んだ。中東和平問題ではイスラエルとパレスチナの双方と協力するべきだと主張し、オバマ大統領の対キューバ政策には支持を表明。いずれはラウル・カストロ国家評議会議長を米国に招くべきとの考えを示した。

指名争いからの撤退を促す声に対しては、「最後の一票まで闘う」「米国民一人ひとりに民主党候補を選ぶ機会を与える」と反発した。

トランプ氏については「思いつきでものを言う人物」「事実に反する発言が多い」と批判した。

インタビューの最後は、共和党の指名獲得を目指すジョン・ケーシック・オハイオ州知事。NATOの見直しを主張したトランプ氏に対し、「我々はNATOを必要としている。NATOは重要だ」と反論した。

ケーシック氏はまた、クリントン氏の国務長官時代の業績に疑問を呈し、リビアへの介入は「ひどい間違い」だったと述べた。

トランプ氏やクルーズ氏と組んで副大統領候補となる可能性については、「可能性はゼロ以下」と強く否定した。

大統領選5候補にCNNがインタビュー

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