疑惑の前大統領、官房長官就任を裁判所が差し止め ブラジル

汚職疑惑に抗議する人々。ブラジル政界の混乱に拍車がかかっている

2016.03.18 Fri posted at 11:46 JST

(CNN) ブラジルのルラ前大統領が絡む汚職疑惑を巡り、首都ブラジリアの連邦裁判所は17日、ルラ氏を官房長官に起用する人事の差し止めを命じた。この人事に対しては、汚職事件の捜査を妨害する狙いがあるとして野党などが反発を強め、大規模なデモを展開していた。

ルラ氏はルセフ大統領から官房長官に指名され、首都ブラジリアの大統領宮殿前で就任式が行われた。就任式では反対派と賛成派の衝突が起きて3人が逮捕され、軍警察が出動してデモ隊を解散させた。

ルラ氏は国営石油会社ペトロブラスが絡む汚職疑惑に関連して不正な利益を得た疑いで警察から事情を聴かれ、自宅を捜索されている。しかしブラジルの法律では、政府高官を裁くことができるのは連邦最高裁のみ。ルラ氏が官房長官に就任すれば、訴追が遠のく可能性があった。

連邦裁判所の差し止め命令では、ルラ氏が官房長官に就任すれば、「司法権の自由な行使と連邦警察や連邦検察による捜査」が妨げられると指摘した。

ブラジルのルラ前大統領

国営ブラジル通信によると、司法長官はこの決定を不服として異議を申し立てた。

司法長官は記者会見で、ルラ氏の官房長官起用は権力の乱用には当たらないと主張、連邦裁判所は偏っていると訴えた。ブラジル通信によれば、担当裁判官はソーシャルメディアの投稿でルセフ大統領を批判したことがあるという。

ブラジルのリオデジャネイロでは今年8月にオリンピックの開催を控える。しかし全土でルセフ大統領の辞任を求める大規模デモが相次ぐなど、政治的緊張は高まる一方だ。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。