命救われたペンギン、毎年「帰宅」して男性と再会 ブラジル

2016.03.14 Mon posted at 13:24 JST

(CNN) 1羽のペンギンが毎年約8000キロを旅して自分の命を救ってくれた男性に会いに来る――。そんな美談がこのところソーシャルメディアで出回っている。実はこの話、真実に基づいてはいるものの、相当の誤解や尾ひれも加わっているという。

CNNは、2月にブラジルでこのペンギンに関するドキュメンタリー番組を制作した生物学者、ジョアン・パウロ・クラジェウスキさんに取材した。

ペンギンの話は6日にインターネットに掲載され、以後、8000キロを旅してペンギンが男性に会いに来るという話が広まった。しかしそれは事実ではないとクラジェウスキさんは断言し、このペンギン「ディンディム」の本当の物語を紹介した。

2011年5月、ブラジル南部リオデジャネイロ州に住むジョアン・ペレイラ・デ・ソウザさん(71)が自宅前の海岸で、原油流出に巻き込まれてほとんど動けなくなった1羽のマゼランペンギンを発見した。

ペレイラ・デ・ソウザさんはペンギンの体に付いた原油を洗い落とし、毎日餌を与えて回復させた。

マゼランペンギンは南米大陸南端のパタゴニア地域に生息し、5カ月ほど海で過ごしてから海岸に戻る。主にアルゼンチンで繁殖し、ブラジルのリオデジャネイロ州で目撃されることもある。

ペレイラ・デ・ソウザさんはペンギンが回復すると、近くの島へ連れて行って海に放した。ところが数日たつと裏庭に戻って来て、ペレイラ・デ・ソウザさんの姿を見ると鳴き声を上げた。

ペンギンはそのまま2012年2月まで裏庭に住み着き、2歳になるペレイラ・デ・ソウザさんの孫とも仲良しになった。孫は「ペンギン」の単語がうまく発音できずに「ディンディム」と呼んでいて、それがこのペンギンの名前になった。

2月のある日、ディンディムは突然姿が見えなくなった。どこへ行ったのかは分からなかったが、数カ月たつと再び戻って来たという。

「ペンギンはつがいの相手や夏を過ごす繁殖地に非常に忠実で、毎年同じ場所に戻ってくる傾向がある」とクラジェウスキさんは解説する。

その年の6月、大きな鳴き声を聞いてペレイラ・デ・ソウザさんが裏庭に出てみると、ディンディムが待っていた。以来、毎年6月に戻って来て翌年2月中旬までここで過ごすのが習慣になっている。

ディンディムが姿を見せない間、どこにいるのかは不明だが、数千キロ離れたパタゴニアにいる可能性は極めて低いとクラジェウスキさんは言う。

ディンディムは今年、推定6歳になった。ブラジルの水族館が血液検査を行って鑑札を取り付け、今後の追跡調査を予定している。

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