ISIS「首都」のラッカ、変わり果てた街を隠しカメラで撮影

2016.03.14 Mon posted at 11:58 JST

(CNN) 人通りもまばらな荒れ果てた街に、武装した戦闘員たちの姿――。過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」が首都と称するシリア北部ラッカ市内を、シリア人女性2人がカメラを隠し持って歩いた。スウェーデンのCNN系列局、エクスプレッセンTVが撮影を依頼した。

2人は見つかれば処刑される恐れがあることを承知のうえで、顔と体をベールで覆って買い物をし、タクシーに乗り、住宅街を歩き回った。

身元を隠すために加工された音声で、空爆が激しくなってから「みんな去っていった」と話す。「ISISの外国人戦闘員たちは検問所を設けてシリア人の身分証明書を取り上げ、それを使ってトルコへ逃げている」という。

シリアで内戦が始まって5年。国連によると、全国でこれまでに25万人以上が死亡し、1000万人以上が家を追われた。ラッカは2013年にISISに制圧された。

シリア人女性2人がカメラを隠し持って撮影を行った

エクスプレッセンTVによると、ビデオが撮影されたのは冬の終わり。かつてイスラム教神秘主義の教団スーフィーとシーア派の聖地とされたウワイス・カルニー廟(びょう)もがれきと化していた。

アルメニア殉教者教会の前を通りながら、一方の女性が「ISISはこの建物をイスラム警察本部にした」と説明する。

女性たちは、若い男性が斬首される場面などを目撃したこともあると語った。「銃殺して首を切り、頭部を棒に刺して交差点にさらしたり、道路に遺体を放置して跡形もなくなるまで車にひかせたりする」と、ISISの残虐さを指摘する。

モデルの女性の顔は黒く塗られていた

かつてはシリアで最も進歩的だったラッカの街に、ISISは厳格なイスラム法を導入した。同性愛者とみなされれば命を狙われ、女性は権利を奪われてベールの着用を強制されている。

2人が買いに行ったヘアカラーの箱は、写真の女性モデルの顔が全てマーカーで黒く塗りつぶされていた。

市内の高級住宅地では富裕層がISISに追い出され、その家に外国人戦闘員たちやその家族が暮らしている。「カザフスタンやアフガニスタン、フランスなど欧州の出身者もいるが、大半はサウジアラビア人」だという。

女性のひとりは「私たちを覆うベールと暗黒を早く脱ぎ捨てたい。自由より大事なものはない」と、力を込めた。

ISIS「首都」内部を秘密裏に撮影

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