国連、南スーダン軍の残虐行為を非難 住民殺害や強姦

国連は南スーダンで政府軍兵士らによる民間人殺害などがはびこっている恐れがあると指摘

2016.03.12 Sat posted at 16:53 JST

(CNN) 国連は11日、内戦状態にあるアフリカ中部の南スーダンの現状を分析した報告書を公表し、政府軍兵士や政権支持の民兵組織などによる民間人殺害、村落での略奪や破壊、大規模な強姦(ごうかん)がはびこっている恐れがあると主張した。

民間人を意図的に狙った「焦土」戦術とも非難した。同国は2011年に独立したばかりだが、13年12月にクーデター疑惑に絡むキール大統領とマシャル副大統領の確執が原因の内戦が勃発(ぼっぱつ)。大統領が属するディンカと、副大統領が出たヌエルの2大民族間の抗争とも化しており、出身民族の違いが理由で路上や避難先の教会などで殺害される実態にも触れた。

双方の交戦は15年に政府軍優勢の戦況となり、これ以降、民間人に対する残虐行為が表面化するようになったとしている。昨年8月には停戦合意が得られたものの実現への見通しは不透明なままとなっている。

報告書は、民間人を樹木からつるしたり、細かく切断する殺害方法や生きたまま放火などの残虐行為に言及。国際人権擁護組織アムネスティ・インターナショナルは最近、政府軍兵士が家畜を没収した農民ら60人を縛り上げ、窓のない鋼鉄製のコンテナに閉じ込めた迫害例を暴露。

この後、軍が押さえるレール町のカトリック教会跡の敷地にコンテナを運び込んだ。国連の報告書は、コンテナ内の農民らは1、2日内に死亡し、生存者はわずか1人だったとする信頼すべき情報も引用した。

アムネスティ・インターナショナルもコンテナに住民60人を閉じ込め死亡させた迫害例などを提示

報告書は、少女や女性に対する性的暴行ではユニティ州1州のみで昨年4~9月の間に1300件以上の事例が起きたと指摘。ただ、実際の数字はより多いとも見ている。南スーダンは10州から成る。

抵抗やレイプ犯の目を見たなどの理由で殺害されたとの目撃者の証言も紹介した。報告書は、軍兵士は村落襲撃などで女性や少女を商品とみなし、他の私有財産と共に奪い去っているとも批判した。

内戦に伴い、居住先などを追われた住民は200万人以上とされ、犠牲者は数万人規模となっている。アフリカ連合(AU)は昨年、南スーダン紛争の両当事者は人肉を口にする野蛮行為や子どもの軍への強制編入などに関与していると非難する報告書を公表していた。

一方、南スーダン軍の報道担当者は11日、国連報告書の内容に触れ、実情を反映していないと反論。軍は人権侵害行為の報告は受けていないとし、仮にそのような行為を犯した者が見付かった場合、調査し裁きを受けさせると主張した。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。