スーパーチューズデーで見えた6つのポイント

民主クリントン氏、共和トランプ氏がそれぞれ過半数の州で勝利

2016.03.02 Wed posted at 20:54 JST

(CNN) 米大統領選に向けた民主、共和両党の候補者指名争いは、南部諸州などの予備選、党員集会が集中した1日の「スーパーチューズデー」で序盤のヤマ場を越えた。この日の結果から見えたものはなにか。

共和党の実業家トランプ氏と民主党のクリントン前国務長官は、どちらも指名獲得こそ果たしていないが、最有力候補としての地位を一段と固めた。

共和党ではトランプ氏が全11州のうち7州で勝利を収めたのに対し、クルーズ上院議員は3州、ルビオ上院議員は1州にとどまった。民主党でもクリントン氏が11州中7州を制し、サンダース上院議員を大きく上回る結果となった。

序盤最大の決戦を経て明らかになったことを、候補者別のポイントにまとめる。

1.連合を率いるトランプ氏

トランプ氏は序盤の州でも示してきた通り、今やひとつの連合体を率いていることが分かった。

ニューハンプシャーとマサチューセッツでは穏健派の白人労働者層から、またサウスカロライナやテネシー、アラバマ、ジョージアではキリスト教福音派からの支持が、それぞれ証明された。バージニアでの記録的な投票率は、同氏の存在で共和党の支持基盤自体が広がったことを示している。

トランプ氏は勝利宣言でこう述べた。「私は団結を促すまとめ役だ。ちょっと信じがたいと言われるだろうが、信じてほしい」

共和党のレースでは今後も同氏が独走を続け、ライバル候補たちが対抗馬の座をめぐって果てしない争いを続けることになる。

クルーズ氏は大票田の地元テキサス州など3州で勝利

2.南部を制したクリントン氏

クリントン氏にとって今回のスーパーチューズデーは、オバマ現大統領の勢いに押された2008年大統領選とは正反対の結果になった。獲得した代議員数も勝利した州の数も、サンダース氏を上回っている。

テキサスやジョージア、バージニア、アラバマ、テネシー、アーカンソーと、人種的少数派の割合が多い南部の州で次々と圧勝したのに加え、白人人口が多いマサチューセッツでも接戦の末にサンダース氏を破った。

この勢いで8日のミシガン、15日のフロリダ、オハイオなど5州を押さえ、サンダース氏の復活を封じたい構えだ。ただこの間にあるカンザス、ネブラスカ、メーン各州の争いではサンダース氏の勝利が予想される。

3.生き延びたクルーズ氏

クルーズ氏はまさに、やるべきことをなしとげたといえる。地元テキサスを十分な差で勝ち取ったのだ。さらにオクラホマとアラスカでも勝利し、「自分こそトランプ氏の唯一の対抗馬」という主張を今後も続けられる見通しとなった。

クルーズ氏は「選挙戦は新たな段階に入る」と宣言し、ライバル候補たちに撤退を促した。

クルーズ氏はトランプ氏と同様、党の主流派には好まれていない。しかし同氏とルビオ氏の間で「一方が浮けば他方が沈む」という展開になっているのは確かで、1日の結果はクルーズ氏の方が良かったことも事実だ。

ただ、クルーズ氏はスーパーチューズデーを「最も重要な日」と位置付けて全力を注いできたにもかかわらず、この日に勝ち取ったのは3州。全てをかけた南部はすでにほぼ決着がついてしまっただけに、今後の争いに不安が残る。

サンダース氏は4州で勝利し、今後の戦いに臨む

4.ついに一勝を挙げたルビオ氏

これまで2位、3位という結果が続いていたルビオ氏は、スーパーチューズデー以降に地元フロリダなどで追い上げるシナリオを描いてきた。

1日はミネソタの党員集会で念願の一勝を挙げたものの、先週来トランプ氏への攻撃に多くの時間を費やしてきた同氏にとっては、全体として思わしくない結果といえる。

この先、舞台はミシガンへ、さらに地元フロリダをはじめ、同氏が得意とする「教育水準の高い郊外の穏健派」が多い大票田の5州へと移る。しかもフロリダやオハイオは「勝者総取り」方式だ。同氏は1日夜、CNNとのインタビューで「勝負はそこからだ」と語った。

5.持ちこたえたサンダース氏

民主党のレースはほぼ予想通りの展開となり、サンダース氏はコロラド、ミネソタ、オクラホマ、バーモントの4州を順当に押さえた。

もう1カ所だけ、同氏が有力視されていたのはマサチューセッツ。地元バーモントと隣接するリベラル派の拠点だが、ここでは勝利を挙げることができなかった。

サンダース氏は1日夜のインタビューで「勝者総取り方式の争いではないから、代議員の数ではクリントン氏に引けを取らないはずだ」と述べ、撤退の意思はないことを強調した。

同氏は2月だけで4200万ドル(約48億円)の資金集めに成功した。また、一刻も早くレースを終わらせたいクリントン氏との間で、6日夜にもう1度討論会を開くことを提案し、同意を取り付けている。同氏にとって、8日のミシガンと15日のオハイオを押さえられるかどうかが分かれ目となりそうだ。

大統領選を勝ち抜くのは誰?

6.ライバルの足を引っ張るケーシック氏とカーソン氏

ケーシック・オハイオ州知事に撤退を求める声が強まっているのは、トランプ氏に対抗する候補の票を同氏が奪っているからだ。

例えばバージニアでのケーシック氏の得票率は9.4%。一方、ルビオ氏は2.8ポイントの差でトランプ氏に敗れた。ルビオ氏はCNNとのインタビューで「互角の争いだった。もっと候補者が少なければ勝てたはず」と話した。

勝者総取り方式のオハイオを前に、ケーシック氏への撤退圧力はさらに強まるだろう。ルビオ氏がフロリダに加えてオハイオを制した場合、両州で一気に計165人の代議員を獲得できる。しかしケーシック氏が残留していたらそれは無理だ。

ただケーシック氏からみれば、自分の足を引っ張っているのはルビオ氏だということになり、協力は望めそうもない。

元神経外科医のカーソン氏もまた、撤退を拒否している。カーソン氏は代議員をほとんど獲得できていないものの、福音派の支持基盤がクルーズ氏と重なるため、票が割れる原因となっている。

スーパーチューズデー 各候補者の演説

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