米特殊部隊、イラクでISIS掃討作戦を開始

2016.03.01 Tue posted at 11:54 JST

ワシントン(CNN) 米陸軍の特殊部隊デルタフォースがイラクで過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」に対する掃討作戦を本格的に開始したことが1日までに分かった。同部隊の活動を直接把握している米政権当局者がCNNに語った。

同当局者によると、特殊部隊は数週間前から現地に拠点を設け、情報網を確立し、イラク当局やクルド人部隊「ペシュメルガ」との間で作戦の調整を図るなど、水面下で準備を進めてきた。

CNNが取材した国防総省や軍の当局者らは詳細を語ろうとしなかったが、カーター国防長官は29日の記者会見で「ひとつだけ言えるのは部隊が配置されて実効性を発揮し、活動しているということだ」と述べ、作戦の始動を示唆した。

カーター長官によれば、部隊は急襲作戦を実行してISISの拠点や人物を押さえ、人質になったり拘束されたりしている人を解放する。

パソコンなどから入手した情報を活用することも視野に入れているという

CNNが入手した情報によれば、特殊部隊の作戦は過去数年間にイラクやアフガニスタンで使った戦略を再現する形となる。十分な情報を収集したうえでテロリストの潜伏先などを急襲し、パソコンや携帯電話などの押収品からさらに情報を入手したうえで、関係先を素早く攻撃するという方法だ。

昨年5月にはシリアで同様の作戦を実行し、ISISのアブ・サヤフ幹部を殺害、同幹部の妻を拘束した。押収品や妻への尋問から、ISISの組織網について多くの情報が得られ、その後の作戦に活用することができたという。

ただシリアでは、この作戦と14年に失敗した人質救出作戦を除き、ISIS戦闘員らを狙った殺害作戦は全て空爆によって実行されてきた。地上部隊の派遣はより直接的な手段だが、リスクも大きくなる。

カーター長官は昨年12月に議会での証言で、イラクへ特殊部隊を送り込み、さらにシリアにも派遣する可能性があると発表していた。

イラクでは200人規模の部隊がすでに情報収集を進めている

イラクでは200人規模の部隊がすでに情報収集を進め、数カ所で急襲作戦を実行する態勢にある。付近に民間人がいないことを入念に確認したうえで、特定の人物や集団に攻撃を仕掛けるという。

これとは別にシリアでは、50人前後の特殊部隊が数週間前から作戦を大幅に拡大。部族勢力やアラブ人、クルド人部隊によるISIS支配地域の奪還作戦に同行している。

カーター長官は29日の会見で、対ISIS作戦は「こちらが優勢に立っている」と強調。米軍は今後、イラク軍による北部モスルの奪還作戦でも大きな役割を果たすとの見通しを示した。

同長官はまた、ISISの指揮系統を破壊するためのサイバー作戦にも言及した。

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